光の中のアリス|インタビュー|荒木知佳
Photo by Junya Osakabe |
荒木知佳 Chika Araki |
俳優。1995年7月18日生まれ。俳優として、FUKAIPRODUCE羽衣『愛死に』、毛皮族『Gardenでは目を閉じて』、theater apartment complex libido:『libido: 青い鳥(作:モーリス・メーテルリンク)』、彩の国さいたま芸術劇場『導かれるように間違う(作:松井周 / 演出:近藤良平)』、たくみちゃん『―(dash)#2 Rosetta Stone』、ロロ『BGM』、セビロデクンフーズ『石田、ゴーゴーヘブン!』、小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク『緑のカラー』『ラブ・ダイアローグ・ナウ』『舞台らしき舞台されど舞台』『すべては原子で満満ちている』『フィジカル・カタルシス』『光の中のアリス(作:松原俊太郎)』『ささやかなさ(作:松原俊太郎)』『ウエア(原作:池田亮)』『再生数(作:松原俊太郎)』『バランス』『セイ(原作:池田亮)』などの舞台作品に参加するほか、本日休演『天使の沈黙』MV、『春原さんのうた(監督:杉田協士)』『彼方のうた(監督:杉田協士)』『走れない人の走り方(監督:蘇鈺淳)』などの映像、映画作品に参加している。2021年、KYOTO CHOREOGRAPHY AWARD 2020にてベストダンサー賞受賞。同年、マルセイユ国際映画祭2021(FID)にて俳優賞受賞。 |
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聞き手:佐々木敦
話し手:荒木知佳
場所:『光の中のアリス』稽古場
Photo by Haruka Takahashi |
佐々木敦(以下、佐々木) そのTシャツ良いですね。
荒木知佳(以下、荒木) 良いですか? やったー。
佐々木 何人ものイラストレーターが描いたかのように見えるけど1人がデザインしたんですか。
荒木 1人です! アーティストの大原舞さんという方が、私の持ってる白Tに描いてくれた。
佐々木 そうなの? じゃあ一点物だ。
荒木 一点物!
小野彩加 中澤陽 スペースノットブランクとの出会い
佐々木 たぶん僕は荒木さんを初めて見たのがスペースノットブランクの作品だったんですよね。だから荒木さんとスペノ(「スペースノットブランク」の略称)は切っても切り離せないみたいな感じなんです。やっぱり最初は、どういう経緯でスペノに出演されるようになったのかをお伺いしたいです。
荒木 まず多摩美術大学の先輩の古賀友樹さんがスペースノットブランクによく出演していて。
佐々木 先輩だったんですか。
荒木 そうなんですよ。聞いたところによると、古賀さんと一緒に出演する方で誰か良い人いるかなぁってことをスペースノットブランクのお二人が古賀さんに訊いて、古賀さんが「荒木知佳という人が大学の後輩にいる。」って答えてくれて、それで声が掛かって出演することになった。
佐々木 たぶん僕が荒木さんを最初に見たのは、下北沢で上演した『緑のカラー』だったと思うんですよ。それがスペノ初出演ですか?
荒木 最初です、それが最初。
佐々木 荒木さんは大学でも演劇を学んでたんですよね。やっぱりスペースノットブランクって作り方といい作品といいあんまり見たことないような手法じゃないですか。最初呼ばれてやりますよってなった時に、まずインタビューとかされる訳じゃないですか。それって最初の出演時はどう感じてたんですか?
荒木 どっちかというと古賀さんを信用してたというか、古賀さんが居るからまあ大丈夫だろうなっていう。
佐々木 じゃあ、わりと楽しく出来た感じ?
荒木 楽しく出来た感じです。出演する前にせんがわ劇場演劇コンクールで上演されてたスペースノットブランクの作品を見たんですよ。
佐々木 『ラブ・ダイアローグ・ナウ』ですね。グランプリを獲ったやつ。
荒木 そう。それを見に行って、よく分かんないけどすごい面白いなぁって思ったんですよね。なんか動きが面白くて、なんでその動きになってんだろ、何をやってるんだろうっていう謎がどんどんなんか、もっと知ってみたいし、もっと中に入ってどういうことが行なわれてるのかを知りたいし、まあ古賀さんいるし大丈夫だろうっていう。
佐々木 そこらへんの安心感はあったという。
荒木 安心感、ありました。
スペースノットブランクの創作
佐々木 スペノは他の現場とは稽古の仕方からして違うじゃないですか。古賀さんが居る安心感があったにせよ、やっぱり「こんなことやったことないよ」っていう風になるじゃないですか。
荒木 なりましたね(笑)
佐々木 それはやってみたら意外とハマったというか。
荒木 出来たというか気づいたら、ね。変な動きとかもして。
佐々木 普通にちゃんと戯曲があって役目があってみたいなやつとは違う潜在能力みたいなのを引き出される感じがあったんですかね。
荒木 あーそうかも。最初聞き取りで自分の話をして、それがそのまま台詞になるみたいな。普通じゃない。でも面白かった。めっちゃ面白いなーって思って。
佐々木 スペノの場合は、創作の出発点がインタビューじゃないですか。ああいうのって話すこととか決めてるの?自分の中で。
荒木 決めてない。
佐々木 もうその場で思いついたことを喋ってるの?
荒木 はい。もうパッと思いついたことを瞬発的に。
佐々木 一番最初の時は、それが台詞になるって言われても何のことだか分かんないですよね。
荒木 いやもう分かんなかったです。
佐々木 でも何度も何度もやってる訳じゃないですか。だんだん、こういうこと言ってやろうみたいな気にならない?
荒木 いやならないですね。嘘を言ってもいいし作り話でもいいしっていうインタビューの仕方が上手なのかな。
佐々木 でもやっぱり何回かやってると、いま自分が口にしたエピソードやそのキラーフレーズが台詞になっちゃうかもって思うじゃないですか。
荒木 いやー、思ったことないかも。
佐々木 そうなんだ、すごい。でもそれが良いですよね。毎回本当にリセットして新鮮な感じでやれるっていうのは。
荒木 だから「えーっと、うーん」とかも入ってるから、あぁそっかーそうだった、って毎回思う。ここも台詞になるんだったーみたいな。
佐々木 僕はスペースノットブランクで初めて見た作品が『緑のカラー』だったんだけど、荒木さんを見て「なんだこの獣のような目をした人は」って思ったんですよね。なんか取り憑かれたように演技してたから、その時に名前も一緒に覚えたみたいなことがあったんですよ。その時はスペースノットブランクの創作方法も知らなかったから、何だろうこれって僕も思ったんですよね。その後にせんがわ劇場演劇コンクールの賞を獲った後の『ラブ・ダイアローグ・ナウ』の凱旋公演でも荒木さんは出演されてたんですよね。
荒木 出てましたね。
佐々木 じゃあそれが2個目ってことか。
荒木 2個目ですねー。
佐々木 面白いとか、やったことないけどやってみたら楽しいとかあったと思うんですけど、多分スペノの側からも荒木さんがハマったから何度も出演してるってことがあると思うんですよね。そのシンクロみたいなのは何ですかね。
荒木 なんだろうー。でも話してることが結構分かるというか、なんかうん、分かるーみたいなことが多い気がする。自分もゴールを設定せずに分かんない所に行ってみたいっていうポテンシャルはあるから、それがいけた要因なのかな。型にハマったどこかに行くよりは、自分の知らない世界に行ってみたいみたいな。
佐々木 それはもうスペノとピッタリですよね。
荒木 確かに(笑)
フィジカルの強さと振り幅
佐々木 スペースノットブランクは作品数も公演数も多いからどんどん出演することになるじゃないですか。でもその間に他の現場の作品にも出演する訳ですよね。その切り替えみたいなのはどうなんですか。
荒木 ええーどうなんだろう。でもだんだんスペースノットブランクは「ただいま」みたいな気持ちになっちゃう。
佐々木 若干ホーム感があるっていう。
荒木 この空気感に帰ってきました! みたいなのはあるけど、でもなんかやっぱり1つの方向性の荒木知佳みたいなのにもなりたくなくて、色んなのにも挑戦して色んな自分の一面を発見出来たらいいなみたいな。新しい所にも行くけど、続けるのも続けて行った方が見えてくるというか。
佐々木 まあ、ずっと同じことやる訳じゃないですもんね。変わってくるし進化してくる。
荒木 その先に何があるんだろうっていうラインと新しいものの発見ラインと、どっちもないとなんか不安みたいな気持ち。
佐々木 そういう意味ではだいぶ理想的な感じになっていったっていうことですよね。スペースノットブランクっていう線もあるけど、それ以外の線も持ってるから、振り幅的にも色々全然違うだろうから。
荒木 スペノの作品は、めっちゃ動くから痩せられる。
佐々木 痩せられるのはともかく(笑)、スペノの作品での荒木さんを見てていつも思うのは、身体能力がとにかくものすごく高い。そのフィジカルの強さみたいなのは何なんですかね、元々持ってたんですか?
荒木 多摩美の勅使川原三郎さんの授業でめちゃめちゃ鍛えられた気がします。3時間ジャンプして跳び続けて。跳び続けていくと段々気持ちよくなって楽しい境地に行ける。行った瞬間にどこまでも行けるってなる。
佐々木 スタミナがあるってのはやっぱりあるんだね。
荒木 そうかも。負けず嫌いでもあるのかも。
佐々木 絶対やり遂げてやるみたいな、結構無茶なこと言われる方が燃えるみたいな。
荒木 そう、昨日の自分に勝つみたいな気持ちが常にある。
佐々木 すごいな。
荒木 昨日の自分を超えてやったぞ! みたいな気持ちが常に(笑)
佐々木 すごい向上心、あらゆる総合的な向上心を持ってる。
映画と舞台の身体性
佐々木 スペースノットブランクをやりつつも他の作品にも出演する中で、やっぱ荒木さんの大きなトピックは映画だと思うんですよね。『春原さんのうた』は荒木知佳っていう俳優にとってもすごく大きなことだったと思うんですよ。で、映画はまた違うじゃないですか。杉田協士監督の映画の作り方も普通の映画と違うかもしれないけど、でもやっぱり全然違う。映画に出てみて発見とかありました?
荒木 発見、なんだろう。杉田さんが緊張しない環境というかすごく素敵な空間を作る人だから、それに乗っかるみたいな感じでその場にただ居るだけでいいみたいな。何か自発的にやってやろうみたいな気持ちを逆に持たないっていう流れに乗っかって、これ来たからこうだーみたいな感じ。でもそれもスペノのダンスにも似てるかも。なんかこれ来たから次こう動くとか。
佐々木 単に一方的じゃなくて、向こうが投げたものに対して自分がどう打ち返すか分かんないけど、打ち返すことでまた来るみたいな。
荒木 来る、転がっていくみたいな。
佐々木 じゃあちょっと似てるとこあるんですね。
荒木 似てるとこあるかも。ただスペノだと駆け引き的に「よし、仕掛けよう」みたいなのはちょっとあるけど、杉田さんの映画はそんなことは無く。
佐々木 やっぱシナリオがちゃんとありますもんね。
荒木 それもあるし、その流れに乗ってそこにただ居るだけというか。それもめっちゃ面白かったです。本当に何も考えなかった。次の台詞何だっけとかも全く考えずに、こうなったらこの台詞出てくるよなーみたいな。あっ、すごーいみたいな(笑)
佐々木 それが荒木さんの特殊能力なんじゃないですか。
荒木 あっ、そうなんですか?
佐々木 なんていうかな、こう、覚えてないみたいな。いちいち新鮮にいけるよっていう感じがもしかすると。
荒木 確かに忘れちゃう。
佐々木 あと演技の在り方も映画と演劇ってそもそも違うじゃないですか。演劇は上演が始まったらずっとだけど、映画はワンカットワンカット撮ってるわけだし。荒木さんの中では自然に現場の在り方みたいなのに馴染めた感じですか。
荒木 でも映画の現場がまず分かってないから。
佐々木 杉田監督の映画の現場に行ったのが最初だからってこと?
荒木 そうかも。でもめっちゃカメラがいっぱいみたいな現場にはまだ行ったことないから、そうなった時の自分の、何だろ、それもめっちゃ興味ある。どうなるのかは分かんないけど。
佐々木 台詞の言い方もスペースノットブランクの場合は特殊じゃないですか。現実でああいう喋り方あんまりしてないみたいな。でも、例えば『春原さんのうた』とかは本当に自然な一言二言で会話してるみたいな、発声の仕方自体も違うみたいな、それは割と自分の中で処理できたんですか?
荒木 あの空間でいまこのお話だったらこの声だし、スペノで、舞台上で、お客さんに届ける声だったらこの声だし、この発声だし、聞いて欲しいからゆっくり言ったりとか大きく言ったりとか逆に静かに言ったりとか、関係性によって出る発声だから。
佐々木 それは結構自然にコントロール出来ちゃう感じなんですか。
荒木 そういう感じなのかも。だから私はどっちも自然って思っちゃう。
佐々木 別にどっちかの方が自然だけどこっちは無理してるとかじゃなく、割とどっちもスルッと出来た?
荒木 スルッと出来た!
佐々木 すごいじゃない。
荒木 すごいですか? 私も違和感はない。
佐々木 僕はやっぱり『春原さんのうた』の荒木さんを見た時に、「あ、こんな演技も出来ちゃうんだ」と思ってすごい新鮮だったんですよ。たぶんそう思った人は他にもいると思うので、映画の仕事ってのも続けていってほしいと思うんですよね。
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思い出し中
佐々木 『光の中のアリス』は4年前に初演があって、松原俊太郎さんの戯曲をやったのも初めてだったと思うんですけど、当時の思い出ってありますか。
荒木 松原さんと沢山お話しした思い出があるかも。
佐々木 初演の時に?
荒木 『光の中のアリス』の脚本を書く前に、それこそインタビューみたいな感じでお話ししたりして、それもちょっと組み込まれてるのかなーっていう。
佐々木 だってヒカリは荒木さんへのあてがき、あれがあてがきって訳分かんないけど、そういう感じですよね?
荒木 「こんなに私が喋りやすい台詞になってる、すごい!」と思って。
佐々木 おーなるほど。それはやっぱり松原さんがインタビューで喋り方とかを観察してますよね。さすがですね。
荒木 すごい覚えやすくて、なんか戯曲イチ覚えやすい(笑)
佐々木 じゃあめちゃくちゃノって出来たんだ。今回再演となった訳ですけども、4年経ってみてどうですか? 初演の時は再演するとは思ってなかったと思うんですけど、今回かなり座組が変わって、劇場がトラムになるってことだけでもずいぶん違うと思うんですけど。
荒木 やー、まずめっちゃ嬉しい。再演がすごい嬉しい。シアタートラムってのもめっちゃ嬉しい。通る度に「いつかはここで!」って思ってたから。
佐々木 あ、初トラムなんだね。
荒木 はい、初トラムです。三軒茶屋めっちゃ好きで、「いつかここで!」って。
佐々木 そういう意味ではもう待望の。
荒木 いやー、そうなんですよ。劇場が好きなんですよ。去年KAATでやった時も、「KAATで絶対やりたい!」って思ったらKAATのお話が来て。
佐々木 それは良いことだよね。
荒木 はい、場所が好きかもしれない。
佐々木 トラムってまた特殊だよね。上が開いてたりとか奥があったりとか、全然初演の時とは同じ作品でも違った感じになりそうですよね。
荒木 そうですね、しかも地下が開いてるっていう。
佐々木 中澤君がそういう話もしてましたね、フルに使った感じで上演が出来ると。いまは稽古途中だと思うんですけど、4年ぶりに演じてみて作品に対しての感じ方、自分の演技も含めて、どう感じてますか?
荒木 どうなんだろう。でも初演の動きを見て、今回もちょっと取り入れようみたいなことが結構あって、でも何でこういう動きしてたっけっていうのが、もう覚えてない、忘れちゃうから。何でこれだったんだろう、何でこの動きなんだろうとか、何でこの時こういう声出してたんだっけっていうのは。
佐々木 自分でやったけど、その理由はよく思い出せない。
荒木 そう、理由が分からなくなって、今回もやる上で、どうしてこの発声になるんだろうっていうのをもう一回自分で考え直す作業が入るんだなと思って、それがいま大変というか。
佐々木 例えばその中で、だからこうするってのもあるし、いまだったら変えるみたいなこともあり得るってことですか。
荒木 あり得ると思います。
佐々木 それは少しずつ変わっていってるみたいな。
荒木 変わってます、たぶん。初演は結構力が入ってたけど、今回はそんな力入らずにやりたいなーとか。
佐々木 あの時はそうでしたよね。結構がっつり戯曲だし。
荒木 がっつり戯曲だし、なんか身体性に力がこもってたけど、今回はもうちょっと力抜いたバージョンで出来ないかなーとか色々考えたりしてます。本当に記憶が、忘れちゃうから、初演の記憶がもうない。
佐々木 まあ普通に考えたら4年経ってたら忘れてますけどね、結構な部分は。
荒木 基本、全部新鮮。
佐々木 読み合わせをちょっと見させていただいた時に、やっぱり荒木さんと古賀さんは結構スルッとやってる感じがあったと思う。
荒木 本当ですか?
佐々木 手探り感はない感じがしたんですけど、そうでもなかったですか? 意識としては。
荒木 そうでもなかったです。どうやって喋ろうみたいな。いつも毎回本読み緊張しちゃうんですよね。
佐々木 全くそう見えないですね。
荒木 文字を読むの苦手なんです。覚えちゃえば大丈夫なんですけど。文字を追うってのが苦手で、ゲシュタルト崩壊起こしちゃう。でもすごい面白いから、松原さんの戯曲すごい面白い。
佐々木 僕も聞いてて、読み合わせ聞いてるだけで笑っちゃうっていうか、何で笑ってるのか自分でもよく分からないみたいな感じありますね。
荒木 そう、言ってるだけでもなんか面白いみたいな。本読みで新鮮に感じられました。しかもみんなまた違う新しいメンバー。
佐々木 そうですよね、また違うヒカリスが見れるという。
荒木 めっちゃ面白いです、伊東沙保さんも東出昌大さんも。すっごい面白いから。
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上演に向けて
佐々木 考えてみたら本番まであと3週間くらいかな。意気込みというと変だけど、まあ11月に入ったら本番がもう控えてるわけじゃないですか。
荒木 やばいです。
佐々木 いまの心境はどうですか。
荒木 体力的な問題で、いま1場を頑張って作ってるところでもう汗ビッチャビチャだから結構心配。終わる頃にはどうなっちゃってんだろうって。もうビチョビチョ具合が。水溜りとか作っちゃうんじゃないか。
佐々木 本番でそうならないようにしないといけないですよね。でも尻上がりに毎回ガーッと稽古していくって感じなんですかスペノって。
荒木 いやどうなんだろう、毎回違うから。
佐々木 そうなんだ、それも違うんだ。
荒木 分からないです、まだ。
佐々木 いつも同じ感じのパターンっていうのはそんなにないんですね。
荒木 ない気がする。
佐々木 回数出てる人がそう言うんだから本当にそうなんだ。
荒木 私が忘れてるだけかもしれないけど、毎回違う。
佐々木 僕はマーダーミステリーやらされて。すごい面白かったんだけど、どゆことって思ったよね。
荒木 (笑)
佐々木 でも、そういうのも色々取り入れながら楽しんで稽古やってるんだ。
荒木 信頼関係が結構それで出来るから、信頼関係さえあればもう大丈夫みたいな。
佐々木 まあ回数やらないといけないですもんね本番は。
荒木 そうですねー。でも今回皆面白いから絶対面白いものは出来るっていう確信だけはある。あとはもう、体力との勝負(笑)
編集:髙橋遥 土田高太朗
ルポルタージュ:佐々木敦
その1「読み合わせとマーダーミステリー」
その2「戸惑いと疑い」
その3「トーンとグルーヴ/上演に向けて」
インタビュー
松原俊太郎
荒木知佳
古賀友樹
伊東沙保
東出昌大
Photo by Arata Mino |
佐々木敦 Atsushi Sasaki |
思考家/批評家/文筆家。音楽レーベルHEADZ主宰。映画美学校言語表現コース「ことばの学校」主任講師。早稲田大学非常勤講師。立教大学兼任講師。芸術文化の複数の領域で執筆、教育、プロデュースなどを行なっている。著書多数。演劇関係の著作として『小さな演劇の大きさについて』。近著として『成熟の喪失 庵野秀明と〝父〟の喪失』『「教授」と呼ばれた男ー坂本龍一とその時代』などがある。 |
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