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ささやかなさ

ささやかなさ|公演に於ける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応、対策についてのご報告(2021年8月28日時点)


卒業式の日、集まった生徒たちは、ひとりの、もういなくなった人間を思い出す。その人間が求めていたこととは、託したものとは何だったのか。生徒たちは問答し、練習し、どんどん謎を深めていく。そして、その果てに発生するものとは……

ささやかなさ、が書かれるに至った誰かのささやき

Powers of Ten っていう映像作品を見てると、10の2乗メートル宙に浮かんだぐらいのところでもうヒトやモノの差異がわからなくなる。青、緑、整理された区画、なんやわからんでっかい建物、そのなかにヒトやモノがうぞむぞいるんだろうなって感じ。システムが想定するヒトもそんな感じ。ケンブリッジ・アナリティカに好き放題いじくられてるのに、わたしなんにも感じない。目の前にいるヒトをそーゆーふーな無感情で見ることもできる。って、油断してると、足もとからでっかい鯨が白い飛沫をあげながら現れて、大口開いてわたしを飲み込んでしまった。
世界ってなんて素晴らしいの。
言葉がわたしとあの人を区別する。わたしが持ってる性質やブツを具体的に並べてってもそれがわたし固有のものであるとは言えなくて、わたしとまわりにあるものとを取り結ぶささやかな関係こそわたし固有のもの。だから何だ、って言われたら、まあ知らんけど、だから何だって言ってくるひととだって関係は結ばれてしまう。たまにはSNSやめてここに来てわたしの目じっと見つめてみたら? たぶん感動するよ? って思うけど、めんどくさいよね。ってな感じのなれなれしいことば使いで、わたしは誰かと誰かを区別する。その区別が誰かを傷つける。ほんまはそんな杜撰な区別で傷つく必要ないねんってわかってても、ささやかなさで凶器になってしまう言葉とそのひとの区別の手つきに傷ついてしまう。そこにはイヤがオーにも関係がすでにできあがってるし。即消去しなきゃならないものだらけで、日々がめんどくさい。わたしが社会に国に何を負ってるっちゅうねん、海で叫ぼうが街で喚こうが関係はどこまでもついてきよるし、あーいややいやや、やっぱりモノは凹んだ犬みたいな顔しないし便利、やけど、たまに会うレジのおばちゃんとのささやかな関係にだって救われることあるし? 漆黒の部屋んなかで鬱々とカップラーメン啜ってても外の空気に触れた途端……みたいにどっかでポジティヴに転じる瞬間があるし? あー世界ってなんて素晴らしいのって何回も何回も言いたい、一日一日のささやかなさ、よさをさ、保存したいだけなのよ、それこそシェアすべきものなんじゃないの? 死んで灰になるまで、キミとボクのささやかなさ、くらし系をさ、これから一緒に作っていこうよってキムタクには言われたくないけどたまたま現れた誰かには言われたいし言ってみたい……から、重い腰回しだそー

松原俊太郎 まつばら・しゅんたろう
劇作家。1988年、熊本県生まれ。神戸大学経済学部卒。2015年、処女戯曲『みちゆき』で第15回AAF戯曲賞大賞受賞。2019年『山山』で第63回岸田國士戯曲賞を受賞。小説『ほんとうのこといって』を「群像」(講談社)2020年4月号に寄稿。主な作品に『忘れる日本人』『正面に気をつけろ』『光の中のアリス』等。2021年度セゾン文化財団セゾン・フェローⅠ。

2020年の『ささやかなさ』に宛てた言葉

2019年はスペースノットブランクとの出会いの年でした。メールで言いたい放題言い(すみません)稽古にも出ず(致し方ない)に迎えた『ささやかなさ』高松公演の初日、観客のひとりとしてその場にいた私は、シンプルに感動していました。キボーと言ってもいいかもしれません。

高松公演はひとまずの終わりを迎えました。戯曲はひとつの上演が終わってもまだ終わりません。書き終えた段階で一度終わりを迎え、上演と公演で終わりを迎え、次の上演を待望しています。いずれの終わりも大変でしょうが、ことさら強調したいのは、一度目の終わりのことです。家から一歩も出ず、音楽と首振りのなかで一日とも呼べない時間と格闘するのです。ほんとうに終わらせないといけないのか、誰かが勝手に終わらせてくれればいいんじゃないか、そう思うことしばしばですが、いまだそのようなブン投げかたはできていません。『ささやかなさ』も、ものすごく強く「む」のキーを叩いて終わらせたつもりでしたが、いざ舞台上にいるふたりの俳優を前にすると、もっともっと人物たちが発話し発動する姿を、ないはずのつづきを、見てみたくなってしまいました。この身勝手かつ稀な思いを尊重していただけるそうなので、さらには二名の俳優が加わるとのことなので、東京公演では、よりたくさんの『ささやかなさ』を発生させたいと思っています。

2021年の『ささやかなさ』に宛てた言葉

スペースノットブランク(スペノ)と俳優たちは繊細な手つきで戯曲の一語一語を丁寧に掬って舞台を作るため、上演を観るのはとても緊張します。上演はナマモノだから、そのときどきの動きや発声、まわりの環境によってニュアンスが変化する、というのはよく言われることですが、スペノの場合はその振れ幅がなかなかすごいので、上演後の印象として、とても明るいからとても暗いまで揺れ動きます。恐ろしい事態です。それを目の当たりにしたのが2020年12月の『光の中のアリス』の上演でした。
『ささやかなさ』は2020年5月に再演される予定で、出演者も増えることもあり、リライトしていました。が、再演は中止となり、今回は一年越しの待望の再演です。ただ、『光の中のアリス』を観る前と後とでは状況がまったく違います。リ・リライトすることにしました。
もちろん、戯曲はその都度、もうこれでおしまい! と叫んで書き終えています。できればもうしばらく目にしたくもありません。でも、スペノが再演する、場所が変わる、観るひとが変わる、出演する俳優が変わる、時間が経過している、こうした「ささやかな」変化にくすぐられて、また戯曲を開いてしまいます。帰る時間も忘れてもっともっとお話したいと粘っている恋するヒトみたく、どうしても、もっと見たい、もっと聞きたい、と思ってしまうのです。『ささやかなさ』はこうした「ささやかな」「振れ」に端を発し、悶えながら運動しているようです。ぜひ、きてください。

上演記録
かがわ文化芸術際2019

2019年10月24日(木) 19:00|MOTIF
2019年10月25日(金) 19:00|MOTIF
2019年10月26日(土) 14:00|MOTIF
2019年10月26日(土) 19:00|MOTIF
2019年10月27日(日) 14:00|MOTIF

SCOOL|公演中止

2020年5月22日(金) 19:30|SCOOL
2020年5月23日(土) 13:30|SCOOL
2020年5月23日(土) 18:30|SCOOL
2020年5月24日(日) 13:30|SCOOL
2020年5月24日(日) 18:30|SCOOL
2020年5月26日(火) 14:30|SCOOL
2020年5月26日(火) 19:30|SCOOL
2020年5月27日(水) 19:30|SCOOL
2020年5月28日(木) 19:30|SCOOL
2020年5月29日(金) 14:30|SCOOL

2020年版|戯曲掲載
悲劇喜劇2020年9月号

SCOOL

2021年6月11日(金) 19:00|SCOOL
2021年6月12日(土) 13:00|SCOOL
2021年6月12日(土) 18:00|SCOOL
2021年6月13日(日) 13:00|SCOOL
2021年6月13日(日) 18:00|SCOOL
2021年6月15日(火) 14:00|SCOOL
2021年6月15日(火) 19:00|SCOOL
2021年6月16日(水) 19:00|SCOOL
2021年6月17日(木) 19:00|SCOOL
2021年6月18日(金) 14:00|SCOOL

イントロダクション
植村朔也

金沢21世紀美術館芸術交流共催事業「アンド21」2021年度採択事業

2021年7月3日(土) 13:00|金沢21世紀美術館 シアター21
2021年7月3日(土) 18:00|金沢21世紀美術館 シアター21
2021年7月4日(日) 13:00|金沢21世紀美術館 シアター21

推薦・応援コメント

イントロダクション
植村朔也

記録写真
かがわ文化芸術祭2019

撮影:Dan Åke Carlsson

クレジット
かがわ文化芸術祭2019

作:松原俊太郎
出演:古賀友樹 西井裕美
演出:小野彩加 中澤陽
デザイン:松田泰典
協力:プリッシマ 24EP 株式会社 広真 FooDoo’s
主催・企画・製作:スペースノットブランク
共催:MOTIF
助成:公益財団法人セゾン文化財団
後援:高松市

SCOOL

作:松原俊太郎
出演:荒木知佳 古賀友樹 西井裕美 矢野昌幸
演出:小野彩加 中澤陽
音楽:Ryan Lott 西井裕美
音響:櫻内憧海
照明:中山奈美
舞台監督:河井朗
保存記録:植村朔也
デザイン:松田泰典
制作:花井瑠奈
協力:プリッシマ 24EP This Is Meru お布団 青年団 ルサンチカ 東京はるかに FooDoo’s 瀧腰教寛 蘭智咲
主催・企画・製作:スペースノットブランク
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 芸術文化振興基金 公益財団法人セゾン文化財団

金沢21世紀美術館芸術交流共催事業「アンド21」2021年度採択事業

作:松原俊太郎
出演:荒木知佳 古賀友樹 西井裕美 矢野昌幸
演出:小野彩加 中澤陽
音楽:Ryan Lott 西井裕美
音響:櫻内憧海
照明:中山奈美
舞台監督:河井朗
保存記録:植村朔也
デザイン:松田泰典
制作:花井瑠奈
協力:プリッシマ 24EP This Is Meru お布団 青年団 ルサンチカ 東京はるかに FooDoo’s
主催・企画・製作:スペースノットブランク
共催:金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]
後援:北國新聞社
助成:公益財団法人全国税理士共栄会文化財団 芸術文化振興基金 公益財団法人セゾン文化財団

掲載情報
ステージナタリー
2019年9月1日(日) スペノ×松原俊太郎がコラボ、“漂うだけかもしれないというささやかさ”描く
2019年10月24日(木) スペノ×松原俊太郎が描く“ささやかなさ”「考えても考えても思惑は思惑のまま」
2020年3月17日(火) スペノ×松原俊太郎「ささやかなさ」香川公演経て東京で再構築、出演者は4名に
2021年4月10日(土) 松原俊太郎が戯曲を“リ・リライト”、スペースノットブランク「ささやかなさ」再上演
2021年6月11日(金) 松原俊太郎「類を見ない再演」、スペースノットブランク「ささやかなさ」開幕
北陸中日新聞
2021年6月26日(土) 「ささやかなさ」 来月、金沢で公演
金沢経済新聞
2021年6月28日(月) 現代の人間の境界線を舞台に スペースノットブランクが21美で公演
東京はるかに
2019年12月22日(日) テクストの宙を漂え――スペースノットブランク『ささやかなさ』評
2021年7月7日(水) 時間との戦いはなぜ戦われたか:スペースノットブランク『ささやかなさ』評

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