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言葉だけでは満ちたりぬ舞台|クリエーションメンバーによる制作雑記「クリエーションボンバー」Vol.5

古賀友樹 こが・ゆうき
1993年9月30日生まれ。俳優。〈プリッシマ〉所属。これまでに俳優として、ゆうめい「みんな」「弟兄」「巛」、劇団献身「最悪な大人」「幕張の憶測」「死にたい夜の外伝」、スペースノットブランク「デーモン・ネーション」「緑のカラー」「共有するビヘイビア」「ラブ・ダイアローグ・ナウ」「ネイティブ」「舞台らしき舞台されど舞台」などの作品に参加している。
「言葉だけでは満ちたりぬ舞台」では、クリエーションメンバーとして出演者を務める。


今は2月の26日の13時を過ぎた頃。舞台上では黒ずくめの集団、もといスタッフさん達が照明をつくっている。なんだか凄そうだ。


12月からゆるやかに始まり、もうすぐ3月になろうとしています。我々出演者の仲は良好であると思う。仲の良さなんてどうでもいい? 馬鹿野郎? そこまで言う必要ないでしょ! まったくもう。そりゃどうでもいいんだけど、その感じが絶妙にちょうどいいんですよ。熱すぎず、ぬるすぎず。一致団結の言葉は似合わない。一人一人が真摯に向き合ってくれている、なんでしょう、グルーヴ感。グルーヴィー。あくまで印象ですが。
今回は一般参加の企画ですけども、その中身、創作スタイルと言いますか、普段のスペースノットブランクそのものなんです。まんまです。まんま。もちろん普段よりも無理難題をふっかけられる(ex. 空中に浮いてみて)回数は少なめですけども。


みんな、ちょうどいいバランスを保って適応してくれました。自分を捨てずに、無理はせず、挑戦をし続けてくれている。稽古が終われば、三々五々に帰っていく。グルーヴィー。ご飯とかみんなで食べに行ったりしてないのかな。一回くらいそういう会を僕から提案してみても良かったかもしれないですね。まあ、いいや。


コード・コード・コードを経て、みんながどうなっていくのか非常に興味があります。この経験を活かして頑張ってね、みたいな何かを与えたなんていう気持ちは毛頭ありません。予め用意された枠組みを疑うことは大事なことですから。演劇をやってようとなかろうと、本当に大事なことですから。元々みんなが持ってた自尊心とか相手を思いやる心(この思いやるというのは単に優しくするという意味ではないことに注意してほしい!)とか、そういうものを再認識するリハビリみたいなもんですね。僕らのやってることはリハビリ。北沢タウンホールでリハビリの成果を見せるとか言ったらさすがに怒られちゃうな。でもみんないつの間にか忘れちゃってる。なんでですか。擦れて均一化されてしまったのですか。僕もそうだな。気をつけないと。


そういうわけで、北沢タウンホールで僕らのリハビリの成果が見れます。やってることはバチバチでかっこいいので安心してください。下北沢でキラキラ輝く。


2019年2月26日の通しより|キラキラ輝く古賀友樹。


近藤千紘 こんどう・ちひろ
1993年11月10日生まれ。ダンサー、俳優。これまでにダンサーとして、DANCE PJ REVO「ハゲワシと少女」「Orange Gravity」、Empty-Kubrick「正午の伝説」、akakilike「シスターコンプレックスシンドローム」などの作品に参加。俳優として、ルサンチカ「春のめざめ」「メザスヒカリノサキニアルモノ若しくはパラダイス」、新聞家「白む」、女の子には内緒「光を束ねる」、スペースノットブランク「ネイティブ」「舞台らしき舞台されど舞台」などの作品に参加している。
「言葉だけでは満ちたりぬ舞台」では、クリエーションメンバーとして出演者を務める。


一目惚れした彼の顔ももう思い出せないくらい時間が経ちました。徳島で切った髪ももう肩にちゃんとつくくらいの長さに伸びました。いちご大福の餡を求肥で包む工程を経験して和菓子作りに満足してしまうくらいになりました。「はじめまして」で、名前と顔が一致しない出演者のみなさんから一人一人の印象を書けるまで距離が縮まりました。


この企画のお話を受けてから10ヶ月経ちました。


季節が一周して、わたしの周りの環境も、出来ることも出来ないことも変わりました。


9月のWSから今に続いていることを感じながら、ついに本番の月に進みます。


出会ってしまったから、生まれてしまった言葉の数々が私たちを舞台に立たせています。
下北沢でたくさんの人とすれ違いながら劇場に向かう今も、人生の鍵になる出来事が実は起きている。行きたかったミスドが空いていなかったことも、カレー屋さんが大行列なことも、実は何かに影響を与えているかもしれない。


この舞台を観てくださった方の日常に、新しい感情や、気がついていなかったことに気が付き始めるきっかけが増えますように。自分をいつもと違う角度で見えていけますように。観ただけで終わらない作品になっています。こちらは覚悟を持って立ちますので、お客様は少しのお金を持って観に来てください。チケット代もグットプライス。劇場も下北沢もいいところです。観た後のテンションで、いつもは選ばないような古着を選んで春を楽しむのもいいかもしれません。春は出会いと別れの季節と言いますが、実際は毎日出会いと別れを繰り返しているんですよね。3月の1日、2日、3日しか出会えません、この舞台。是非、少しだけ頑張ってでもお越しください。心よりお待ちしております。どんな方々に出会えるのかとっても楽しみです。もう思い出せない一目惚れの彼も来てくれるかな。来てくれてももう結婚はしないかな。そういう話じゃないのよね、今は。


2019年2月26日の通しより|笑う近藤千紘。


山下恵実 やました・めぐみ
1998年7月9日生まれ。演出家。〈ひとごと。〉主宰。
高校卒業後すぐに、こまばアゴラ演劇学校〈無隣館〉三期演出部に所属。
「言葉だけでは満ちたりぬ舞台」では、クリエーションメンバーとして演出補を務める。


眉間にピップエレキバンを貼ってから寝るとえらく目覚めがいいっていうことに最近気がついて、毎日眉間と、顔の筋肉という筋肉にピップエレキバンを貼って寝ています。

その事はここに書くまで私しか知らなかったことで、私とすれ違っても会話をしたとしても、夜中、私が顔中に磁石を貼り付けていることなんて誰も想像すらしないでしょう。

そういうことは世界に溢れていて、稽古場でオオゼキのお寿司のお弁当がプチブームになっていたことも、うどんが好きだと言った彼が最近、そばの方が好きかもと気持ちが揺らいでいることも、伝えなければ誰も知らないし、知らなくても別に、いい。でも知ったらちょっと嬉しくなったりすることもある、きっと。


この企画名の、コード・コード・コードのコードっていうのは、「遺伝」とか「記号」とかっていう意味らしいです。あんまり意味とか深く考えてなかったけど、なるほどと思いました。


12月のワークショップから始まり、3ヶ月かけて少しずつ、出演者のみなさんとコードを共有してきました。出会ったひとのこととか、出会ってない誰かのこととか、自分のこととか。本当に沢山の共有を辿ってきました。それこそ冒頭に書いたような表面には現れてこない、誰も想像すらしない内側のことも。

で、それで、それぞれの言葉も、身体も、思考も、ひとりひとりの多種多様な歴史とか、選択、経験から導き出されたコードだなと思って、だからなるほどと感じたわけです。

3月1日から3月3日、北沢タウンホールに来て頂けたら、私たちと、みなさんと、下北沢のコードを、きっとちょっと共有できるんじゃないかなあと思います。何かを押しつけたりとかはしないはずです。舞台を通してなにが出来るのか、謙虚な姿勢で虎視眈々とつくっております。


みなさまの貴重な時間とお金を使って下さってありがとうございます、ってな感じの低姿勢で、でもやる気と覚悟に満ちた心持ちでお待ちしています。


2019年2月26日の通しより|誰かが落としたローソンのレシート。


◉言葉だけでは満ちたりぬ舞台|作品概要
◉言葉だけでは満ちたりぬ舞台|ステートメント

◉言葉だけでは満ちたりぬ舞台|クリエーションメンバーによる制作雑記「クリエーションボンバー」Vol.1
◉言葉だけでは満ちたりぬ舞台|クリエーションメンバーによる制作雑記「クリエーションボンバー」Vol.2
◉言葉だけでは満ちたりぬ舞台|クリエーションメンバーによる制作雑記「クリエーションボンバー」Vol.3
◉言葉だけでは満ちたりぬ舞台|クリエーションメンバーによる制作雑記「クリエーションボンバー」Vol.4
◉言葉だけでは満ちたりぬ舞台|クリエーションメンバーによる制作雑記「クリエーションボンバー」Vol.6
◉言葉だけでは満ちたりぬ舞台|クリエーションメンバーによる制作雑記「クリエーションボンバー」Vol.7

クリエーションメンバー|古賀友樹 近藤千紘 山下恵実

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