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言葉とシェイクスピアの鳥|最初で最後のイントロダクション

 私たちの新作、言葉とシェイクスピアの鳥が、2024年1月9日(火)から14日(日)の期間、吉祥寺シアターにて上演されます。
 この上演は、吉祥寺ダンスLAB. vol.6として行なわれる、吉祥寺シアターを運営する公益財団法人武蔵野文化生涯学習事業団と私たちが共同で主催する公演となります。
 言葉とシェイクスピアの鳥は、私たちが2017年以降研究開発を続けている「聞き取り」というテキストの生成手法を、完結へと向かわせようとする物体三部作の第二部として企画しました。
 第一部は、2021年にカフェムリウイにて上演した舞台らしきモニュメントという作品で、在る物としての舞台を現れる物としてのモニュメントに代置し、上演時間と舞台空間の関係を見直そうとする。と銘打たれた舞台でした。
 今回は、大きな集団に生まれる小さな集団たちが、言葉の意味の侵入を自覚的と無自覚的に行ない合いながら膨張し、飽和し、収縮し、最後に残るべきものことの何かが残る。または何も残らない。という群像になる。と銘打っている舞台になります。
 出演者は15名居ます。
 まず、2022年7月に私たちが実施したオープンコールにご応募いただき、私たちが選出した、青田亜香里さん、青本柚紀さん、大石英史さん、加賀田玲さん、黒澤多生さん、髙橋慧丞さん、土田高太朗さん、中尾幸志郎さん、永山由里恵さん、野間共喜さん、深澤しほさん、吉田卓央さん、の12名です。
 オープンコールでは、ゆるやかなネットワークのようなチームを作ろうとしていることや、これから作ろうとしている言葉にまつわる新しい舞台を一緒に作っていただきたいということなどを掲げ、2023年7月までの一年間は、特にクリエーションは行なわず、チームであるという実感だけを保ったまま、それぞれの生活を過ごしていました。
 そして2023年8月。いよいよクリエーションが始まりました。
 城崎国際アートセンターに集まった12名と私たちは、20日間、生活を共にしながら制作をし、最後の日にはワークインプログレスの上演を行ないました。
 次に、これまでに私たちのクリエーションに幾度となく参加いただいている古賀友樹さんと奈良悠加さんの2名です。
 最後に、現在吉祥寺シアターで働く上山史華さんを加えて、全員で15名になります。
 上山史華さん、古賀友樹さん、奈良悠加さんの3名は、城崎国際アートセンターに来ていません。
 ワークインプログレスでは、12名の出演者が舞台を作る側と見る側のどちらもを演じていました。
 それは、異なる12名の出演者の属性が、舞台を作ることと見ることのどちらに傾倒する方がより適しているのかを考えようとしたからでした。
 そうして、作りたいものを作り上げ、見たいものを見てしまったからか、なんだか満足してしまい、12名の属性に寄り添うことはもう充分にやり終えただろうと考えるようになりました。
 なので、来る吉祥寺シアターで上演される言葉とシェイクスピアの鳥では、出演者の属性を取り扱おうとできる限りしていません。
 まさしく出演者。まさしくパフォーマー。としての15名の出演者に何らかのエンターテインメントを期待して、ぜひ遊びにいらしてください。
 シェイクスピアは登場しません。シェイクスピアの鳥をモチーフにした作品です。シェイクスピアの鳥とは何なのかは、長いステートメントを読んでいただけますと幸いです。
 長いステートメントを書くためのみならず、企画を立てる際に参照したBBC “The birds of Shakespeare cause US trouble”の文章内より、印象的な部分をご紹介します。

 人々はシェイクスピアの作品に自分の見解を押し付ける傾向があり、それがヴィクトリア朝の鳥愛好家たちが外来種の放鳥を正当化するためにシェイクスピアの文章を使おうとした理由のひとつかもしれない。鳥マニアはシェイクスピアの中に自分の聞きたいことを見出すだろうし、鳥嫌いも同じようにシェイクスピアの中に自分の都合のいい材料を見出すだろう。

 舞台の上演で行なわれることを、行なわれているからといって現実で行なってしまってはいけないこともあるかもしれません。
 その選択肢を、たくさんの言葉と身体とそれらが保有する意味、つまり情報として放出します。
 「聞き取り」によって収集された沢山の完結し得ない情報の海と山から、目に見えたものと耳にしたものをただ拾得するだけのような展開と、無こそ有であるだろうと信じ切りすぎているようなシンプルな装置によって、上演と舞台として具現化しました。
 今度は、現れた物としてのモニュメントを、在った物としての舞台にコピー&ペーストします。
 上演時間は、途中約10分間の休憩を挟む、約140分になりました。(※2024年1月9日に、約145分に更新しました。)
 イントロダクションを最後までご清聴いただき、ありがとうございました。
 2024年1月9日(火)から14日(日)の期間、吉祥寺シアターにてご来場お待ちしております。
 よろしくお願いいたします。

2023年12月30日(土)小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク

参照:BBC “The birds of Shakespeare cause US trouble”

チケット発売中|お申込みはこちらから
チケット取扱:公益財団法人武蔵野文化生涯学習事業団 電話:0422-54-2011

言葉とシェイクスピアの鳥

吉祥寺シアター
出演者インタビュー
稽古場レポート

小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク
長いステートメント
最初で最後のイントロダクション

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