原風景|ステートメント
現前。舞台はそれはそう。
それがそこに写真があるとしたら、それは舞台に写真があるのか、写真が舞台なのか。
それがそこに写真があるとしたら、それは舞台に写真があるのか、写真が舞台なのか。
高松アーティスト・イン・レジデンス2018に選出され、スペースノットブランクにとっての新しい土地として訪れたここ高松では、間違いなく新しい環境と間違いなく新しい風景が広がっている。が、それは、あるひとつの視点からの視線でしかない。世界がそのひとつとそれに対するもうひとつの視点のふたつだけでできているのなら、それほどわかりやすいことはないのだが、素晴らしいことに世界には数えきれるが出会いきれない視線が無数に交わっている。外を見てみよう。
それがそこにある。ということにとって、美しいか醜いかはあまり重要ではない。記録だから。そして記録が土地を越えて異なる土地に異化される。写真は最も簡単に土地から土地を越えるワームホール。時も超える。
そこにそれがある。ということにとって、見えるか見えないかはあまり重要ではない。体験だから。そして体験が問いになり問いが表現になる。舞台は最も簡単にここからそこを繋ぐコミュニケーション。現前。
外からここに来た。次はここからそこへ、ここから外を見てみようと思います。
西井裕美さんと一緒に3人で、高松を巡り、新しい作品を作ります。
この作品は、外から来た3人がここから外を、他者の記録と記憶からファインダー越しに覗き込む、そこに表れる現前と表現を特別な虚構ではなく、純粋な事実として受容し、観客たちと体験する。写真、言葉、そして舞台の3つがひとつになった未来への「原風景」です。
2018年11月14日(水)
小野彩加 中澤陽