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緑のカラー|石田ミヲ:出演者インタビュー

2017年9月に行われたスペースノットブランクとして初めてのワークショップオーディションに参加し、出演することになった石田ミヲ。大学卒業後本格的に演劇を始め、その後様々な舞台を経験しながら本作に参加することになった経緯と、彼女のこれまでの変遷を聞いた。インタビューは石倉来輝との対談形式により、「緑のカラー」稽古場にて行われた。


「緑のカラー」稽古場近くの緑道にて。 撮影:石倉来輝

石田ミヲ いしだ・みを
1987年7月8日生まれ。俳優。俳優として、バストリオ「Rock and Roll」「Very Story, Very Hungry」、サカサマナコ「祝辞の方法」「箱庭の愛で方」「ゆびさきの半景」「たたずむことしか」などの作品に参加している。

この人たちと一緒にできて幸せだなあみたいな風に思ってて。皆さんすごい、うまくいえないんですけど、能動的な人が多い感覚があって、なあなあでやろうとしない。

___石倉:白湯、なんですか?

石田:白湯、が好きで。今年の冬からちょっとハマっちゃって。白湯飲むとホッとするし、内臓が休まってる感じがあるんで、いつも稽古の時はもっと大きい1リットル入るピクニック用のを飲んでます。白湯、いいですよ。今、おいくつですか?

___石倉:今、二十歳です。

石田:もうちょっとしたら、白湯が欲しくなりますよ。冷たいもの飲むと、もうお腹を壊すようになっちゃって。私、30です。

___石倉:僕の勝手なイメージですけど、石田さんはめちゃくちゃ豊富にサブカルを持ってそうな気がするんですよね。白湯的な何かをいっぱい持ってそうな気がして。

石田:そんな印象を持たれることしましたか?私の参加してる作品を見た、とかじゃないですよね。

___石倉:あくまで印象ですけどね。どうですか、稽古の方は。

石田:稽古は、結構毎回、なんかドキドキします。贅沢な感じで稽古が行われてるから。

___石倉:それは時間のことですか?

石田:もちろん時間も。たっぷり、10月からやってるんですけど、この場にこの人たちがいる贅沢さみたいなのを私はすごく感じていて。この人たちと一緒にできて幸せだなあみたいな風に思ってて。皆さんすごい、うまくいえないんですけど、能動的な人が多い感覚があって、なあなあでやろうとしない。みたいな感じが私はいいなあって思いますね。人によってデフォルトが違うけど、そのデフォルトが同じくらいの人たちが集まってるのかなって勝手に思ってて。嬉しいなあって。自分に集中してればいい現場っていうか。

___石倉:なるほど。年下がめっちゃしっかりしてるって美奈さんはいってたんですけど。

石田:美奈さんもしっかりしてます。ブレない。

___石倉:年下ってことで何か思ったりすることは、あんまりないですか?

石田:もともとあんまり年齢的なものは気にしてなかったんですけど、でも確かに、深く考えたら、今回学生の子とかもいるのに、それが感覚、共通言語がある、じゃないけど、そういう状態になってるってのはすごいですよね。そういわれれば、私も上から2番目だからな。

___石倉:普段現場では、年上の方がいるってことの方が多いですか。

石田:いや、自分が上の方が多いんですけど、でもそういう数字的なものはあんまり気にしたことがなかったです。

___石倉:稽古場ではあんまり気にしてないってことですよね。今回石田さんがワークショップオーディションを受けるに至った経緯みたいなのをお伺いしたいんですけど、ご出身はどちらですか?

石田:神奈川県の、茅ヶ崎市です。

___石倉:今もそちらに住んでいるんですか?

石田:今は、一人暮らしです。


「緑のカラー」稽古場にて。 撮影:石倉来輝

笑いのハードルは低いんですけど、笑顔作るのってなんか、難しい。

___石倉:いつから演劇やりたい、ってなったんですか?

石田:もともと大学が、桜美林の演劇学科なんですけど、在学中はあんまりそこまで演劇をやりたいって気持ちがなくて、卒業してからすごいやりたいと思うようになって、バストリオ、っていう団体にご縁があって、そこからですね。なんかもう、手当たり次第じゃないけど、ダンスの舞台も出たりとかしましたし、でも、スペースノットブランクのワークショップオーディションが、久しぶりに受けたオーディションでした。(写真に気づいて)あ、フィルムなんですか。え、フィルムにこだわる理由とかあるんですか。

___石倉:フィルムってやっぱり味がいいですよね。でも最近はデジタルが進む時代が始まったなって思って、どんどん追いついちゃうかなって、そしたらもうフィルムには戻れなくなるから、フィルムだな、って思って。

石田:デジイチだと思ってました、さっきまで。私も大学でやってたんです。私はモノクロなんですけど、なんか暗室使って、すっぱい酢酸カーミンにまみれながらやってました。

___石倉:大学とかはちゃんと設備があるからいいですよね。

石田:普段は何撮るんですか?

___石倉:人ですね。人を撮るのが好きです。

石田:私、学生の時、なんか人撮れなかったんですよ。

___石倉:それは、生理的に?

石田:はい。なんか木とか、動かないものをよく撮ってました。それで頑張って自分撮ってみたりとか、しましたけど、なんか人って撮るの難しくないですか?

___石倉:僕は、動かない物の方が難しく感じます。

石田:人ってもう、どう撮っていいかわかんなくなっちゃう。だからパーツとか、手とかだけ、なら撮れる。

___石倉:なんか人は楽しいんですよね、あ!今だったのに!みたいな瞬間とか。

石田:ありますよね、そういうの。

___石倉:僕の話になっちゃうんですけど、グラビアアイドルとかが自信満々で胸広げてるの好きじゃないんですよ。なんかレンズ向けられて固まっちゃった身体とか、顔とかが好きで、ちゃんとこわばる感じとか。

石田:私苦手なんですよ撮られるの。オーディション用の写真とか撮る時も、めっちゃ笑ってー!っていわれます。

___石倉:じゃあ結構物静かというか、あんまり笑わないんですか。

石田:いや、そんなことないですよ。笑いのハードルは低いんですけど、笑顔作るのってなんか、難しい。写真で、にー、って笑うの、よくわかんないですけど。

___石倉:確かに。わかりますもんね、そういうの見てると。

石田:だから何もしてないとこを無駄に写真撮るの好きなんですよね。怒られますけど。

___石倉:桜美林を卒業してから演劇を始めたんですよね。

石田:そうですね。在学中はフォトアートの授業取ったり。写真の方がまじめでした。

___石倉:どうして桜美林に入ろうと思ったんですか。

石田:私、浪人したんですけど。親が早稲田で。やっぱ親的には早稲田に入って欲しかった。そういう目的で浪人してたんですけど。浪人中にたまたま、年齢が一緒だけど先に桜美林に入学してた、塾が一緒の男友達がいて、その人が桜美林入ったんだっていって、昔からそういうのに興味はあったけど、親がずっとダメって、オーディションとか応募したいなっていっても、ダメって感じだったから、じゃあ大学ならいいのかなって、そこを滑り止めで受けたんですよ。そしたらそこしか受からなくて、それで、桜美林行きました。


「緑のカラー」稽古場近くの緑道にて。 撮影:石倉来輝

なんかにこってするのが、欧米では、私はあなたの敵じゃないですよ、ってサインらしくて、そういうの知ってから楽しくて。

___石倉:じゃあ高校の頃にもオーディション受けようみたいなのはあったんですか?

石田:高校の頃は全然思わなくて、チアリーダーとかやってたんですけど。小学校の時とかですね。すごいやりたいなって思ってたのは。別に周りにそういうことやってる子がいたわけでもなかったんですけど。

___石倉:何をやっている小学生だったんですか?

石田:修行ごっこ。とか。神社に行って、境内とかあるじゃないですか、境内からここまで飛び移れたら、修行は成功した、みたいな。友達とやりました。

___石倉:それを考えたのは石田さんなんですか?

石田:いや、みんなで考えて、みんなでやりました。結構わんぱくな小学生でした。

___石倉:僕の時はお母さんごっことかやってました。わけわかんないですよね。その後、中学とか入って、どんな感じでしたか?

石田:中学はひたすら陸上でした。陸上部部長でした。

___石倉:僕も陸上やってました。

石田:中長距離ですか?

___石倉:はい。

石田:やっぱり。

___石倉:え、なんでわかるんですか。

石田:体格見て。

___石倉:すごい、800やってました。遅かったですけど、ポンコツでしたけど。種目何やってたんですか。

石田:私短距離で、100とかハードルとか幅跳びとかやってました。弱小だったんで色々させられるんですよ。

___石倉:僕もやらされてました。中長距離ってなんなんですかね。

石田:でも、高校では陸上はやらずに、華やかな部活に入りました、チアリーダー。初めてそこで、女子ってこわいんだなってイメージ、印象。先輩後輩とか。中学の陸上部は弱小だったから、みんな仲良しって感じだったけど、女子ってこわいんだなって。

___石倉:運動好きだったんですか。

石田:好きでした。だから結構踊るのも好きだったし、もう全然ダイエットがうまくいかなくて、高校生の時、すごい大変でした。リフトで私があげられる側なのに、あげる側が辛そうにしてて、あ、ごめん、みたいな。

___石倉:その頃は、将来どうなりたいというようなビジョンはありましたか?

石田:JICA(国際協力機構)、みたいなところに入りたいなって思ってて、国際的な仕事をしたいってすごい思ってて。国際交流委員会っていう委員会にも入ってて、海外の人に興味を抱いている時でしたね。自分と全然違う人が、簡単にいうと白人とか、いるだけですごい興味そそられちゃうんですよね。白人の人って、目合わせるとにこってしてくれるじゃないですか、だからわざと目合わせたりして遊んだりしてるんですよ。なんかにこってするのが、欧米では、私はあなたの敵じゃないですよ、ってサインらしくて、そういうの知ってから楽しくて。JICA、行こうと思ってて、だからそれなりの大学と、TOEICスキルと、あとフランス語ができることっていうルールが色々あって、でも全然勉強とかできなかったから、このスキルじゃ無理だってなって、挫折しました。結構それまでは、大学4年の最初ぐらいまでは頑張ってたんですけど、無理でしたね。


「緑のカラー」稽古場近くの緑道にて。 撮影:石倉来輝

なんか、攻めたい。

___石倉:大学入ってからもJICAへ行こうと思ってたんですか。

石田:普通に就職しようと思ってました。演劇やってたけど普通に就職するんだろうって思ってて、大学4年生の時に何かきっかけがあって、ふつふつと、演劇やりたいなって。あんまり授業もちゃんと出てないような人だったんですけど、演劇出演したりとかして、そこからもうトントントンて。親にも、卒業してからもやりたいです、ってゆって。オーディションには落ちまくるけどやっと拾ってくれたバストリオ、でやって。

___石倉:親御さんの反対とかは、なかったんですか?

石田:ありましたよ。最初は就職して、って思ってたから、奨学金も借りてたし、だけどちょいちょいやるようになって、あ、この子は本当にやるんだな、って思ってくれたみたいで。30歳までってなってたんですけど、私もう30歳なので、だけど今後もやってくっていうのがわかったみたいで、はい、わかりました、がんばってください。みたいな。

___石倉:見に来たりとか、するんですか。

石田:毎回見に来てくれます。でも、全然わかんなかった、とか、よかったよ、とか。全然わかんなかった、が大半ですね。

___石倉:石田さん自身のやりたいこととは別に、俳優としてはどう思いますか?親御さんに対して。

石田:わかろうとしてなくていいんだよ、って、感じたままでいいんだよ、って。両親はもう70代に近いので、鈴木忠志と同期だから、白石加代子さんとかを、小劇場で見てるぐらいの人だから。最近は、わかんない、っていわれなくなったので、よかったけど。

___石倉:わかって欲しい、とかも思わないですか。

石田:思わないですね。思わないし、なんだろう、みんな日本人だけど感覚が違うから、人それぞれだし、どんなにいわれても大丈夫。そうなんだ、みたいな。普通の起承転結みたいなのを求めてる人にとっては、へ?みたいな舞台に出ることが多いから。私やりたくないことやるとダメなんですよね、すぐ身体にきちゃうんで。

___石倉:石田さんの指針みたいなのがある程度見えてきて、それが起承転結っていうか、メジャーなエンターテインメントと違う道にあるっていう中で、ここまで続けてくることの戦いって結構あったんじゃないですか。

石田:間違えて色んなオーディション受けたりしちゃったこともありましたけど。なんで、そういうの好きじゃないんですかね。私は、そこにいること、をしたいんだなって思います。それを今すごい頑張って習得中というか、勉強中というか、なんか難しいんですけど。

___石倉:難しいですよね。今回、スペースノットブランクの初めてのワークショップオーディション。石田さん的にも久しぶり。応募しようと思ったきっかけってあるんですか。

石田:中澤さんがインスタであげてる写真が好きだっていう、そういう感じなんですよね。でも1次のワークショップ受けて、全然ダメダメだったんで、踊りとか全然わかんないし。2人組で本読みもしたじゃないですか。ペアも作れないぐらいポンコツなんで。

___石倉:おもしろかったですけどね。覚えてます。で、今稽古してみて、改めて思うことありますか。

石田:改めて思うこと。え、ない。すみません。

___石倉:自分的にどうありたい、みたいなこととか。

石田:自分のスタンスとしてはあんまりずっと変わってなくて、稽古の話なんですけど、もちろんそこに繋がるものはあるんですけど、なんか、攻めたい。ていうか。なにゆってんだろ。これ、録音されてる。

___石倉:攻めたい。いいワードだと思います。

石田:ゼロポジションでいれるようがんばります。


「緑のカラー」稽古場近くの緑道にて。 撮影:石倉来輝

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第28回下北沢演劇祭参加作品
下北ウェーブ2018選出
緑のカラー
2018年2月8日(木)〜2月11日(日)
於 小劇場楽園

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出演者インタビュー掲載中
古賀友樹
佐々木美奈
鈴木望生
黒木龍世
荒木知佳

インタビュー:石倉来輝
編集:中澤陽

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