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舞台らしき舞台されど舞台|荒木知佳と古賀友樹・出演者たちの対談

スペースノットブランクの新作「舞台らしき舞台されど舞台」に出演する荒木知佳と古賀友樹による対談。これまで様々な舞台作品に出演してきた2人が考える舞台とは。



荒木知佳 あらき・ちか
俳優。1995年7月18日生まれ。これまでに俳優として、天ぷら銀河「テレビ万歳」「魔法の魔法の魔法瓶」、ヨネスク「奥の森の方」、FUKAIPRODUCE羽衣「愛死に」、スペースノットブランク「緑のカラー」「ラブ・ダイアローグ・ナウ」などの作品に参加している。



古賀友樹 こが・ゆうき
俳優。1993年9月30日生まれ。〈プリッシマ〉所属。これまでに俳優として、ゆうめい「みんな」「弟兄」「巛」、劇団献身「最悪な大人」「幕張の憶測」「死にたい夜の外伝」、スペースノットブランク「デーモン・ネーション」「緑のカラー」「ラブ・ダイアローグ・ナウ」「ネイティブ」などの作品に参加している。


荒木 荒木知佳です。

古賀 荒木さん。古賀友樹です。

荒木 古賀さん。こんばんは。

古賀 こんばんは。

舞台を作ることについて。

古賀 コンスタントにずっと、色んな舞台をやってるじゃないですか、学生の頃から。普通のいわゆる、ストレートプレイっていうかそういう演劇もやってればさ、なんか、ちゅパかぷらしゅ(荒木知佳のパフォーマンスユニット)、とかね、あれは舞台とはちょっと違うパフォーマンスにちょっと近いかもしれないけど。でも書道とかも、色々なんかやったり、最近も、色々やってるわけじゃないですか。どうですか。

荒木 舞台ってよりかは、人が好きだから。人となんかやるのが。

古賀 あ、じゃあ、アンドロイド演劇は? 相手アンドロイド。コンニチワ、知佳サンオ茶ヲ沸カシマスカ。

荒木 そのアンドロイドを好きになれば、多分いける。

古賀 でも、稽古終わった時に、プシューン(電源が落ちる音)。

荒木 やだ、それはやだ。

古賀 で、おじさんが、あ、ちょっと待ってくださいね、今、電池、ってそういう工学系のおじさんが、ちゃんとサポートスタッフみたいな人がいるからアンドロイド演劇。

荒木 あんまり見たことない。

古賀 一人芝居とか、どう思う?

荒木 どうなんだろう。

古賀 でも、一人芝居でも、結局お客さんは人だから。じゃあ、アンドロイド演劇プラス、お客さんもアンドロイドだったら。みんな目がピューって数字になってて、その日の出来栄えによって点数が目に表示される。

荒木 それやりたい。

古賀 62点。みたいな。

荒木 それやりたい。その反応見るの楽しそう。

古賀 あ、あいつだけ高得点のやついる、みたいな。それぞれのアンドロイドの特性があるから。これはちょっと楽しすぎるね。

荒木 古賀さんもコンスタントにやってますよね、あんまり暇、みたいなの作らなくない?

古賀 暇ですよ。常に暇にしてます。ずっとやってるね。

荒木 どうなんですか、作る。

古賀 舞台を作ること、でもさ、団体によってさ、色が違ったりとか、作り方が違ったりするとさ、自分がなに者なのかわからなくなるよね。色んな作り方あるけどさ、それに適応して作っていく。適応っていうのかわかんないけど、でも、そんなことしてたらさ、結局、自分なんなんだよって思う。僕ね、舞台本番中とかすごい気持ちが沈んじゃうんですよ。

荒木 なんかすごい風邪ひいてるイメージある。

古賀 ひいてないよ。全然ひいてないよ。直近で共演はしてないけど同じ期間いた時(2018年5月『ラブ・ダイアローグ・ナウ/ネイティブ』)も全然風邪ひいてないし。緑のカラー(2018年2月)の時も、風邪ひいてないよね。ひいてないと思う。ひいてたっけ。体調崩しかけた。崩しかけて、マスクつけてたけど、別にって感じ。でも、すごい本番中気持ちが沈む。まず、なんでこの出演者たちが、同じ、この決められた時間、なんで集まってくるのかがわかんなくなる。

荒木 そこから。

古賀 そこから。やる気があるからなんだろうけど、なんでこの人たちは本当に、ふらっと違う電車とか乗らないんだ、とか思って。でも自分も乗らないな、とか思ったり。だからそれが人数多ければ多いほど、あ、この人たちなんで来てるんだろう。とか、集合時間とかに、みなさんおはようございます。とか、なん日目ですね、みたいな感じとか、なんでだろう。すごいね、って思う。だから、舞台って、すごいよね。

荒木 そう思う。わかる。

古賀 本当。欠けたら大変じゃん。でも欠けてもやるんだろうけど。

荒木 でも、死んじゃいけない、ってめっちゃ思うんだけど、本番期間中とか特に。

古賀 今死んだら迷惑かけちゃう、みたいな。

荒木 普通だったらこの赤信号渡るけど、今は渡らないでおこう、みたいな。

古賀 確かに、アールワンドリンク飲むわ。

荒木 人として死んじゃいけないわ、みたいな。

古賀 人として。集団に属している、みたいな。私は借り物、みたいな。ツタヤのレンタル。舞台のことしか考えられなくなる?

荒木 どうなんだろ。

古賀 集中する? その作品に。それはそれぞれするだろうけど、度合いがやっぱりさ、違うじゃない。

荒木 なんだろう。でも稽古がいっぱい、毎日みたいになると、稽古場以外では、逆に考えないようにしてる時もあるかも。稽古場だけにして、他の時は、なんも考えず、みたいな。なんか稽古が嫌にならないようにしたくて。

古賀 それはいいことだと思う。

荒木 でも考えちゃう時はある。カフェとか行く、地味に。星乃珈琲。めっちゃいい。

古賀 そこでちょっと考え事をするの?

荒木 暗いの。暗闇の星乃珈琲。

古賀 完全にもう星乃珈琲っていう名前も込みでさ、星空みたいになってるじゃん。

荒木 そう、おもむろに想いとかをばーって描いたりして、気付くことが、あ、みたいな。

古賀 こういう感情抱いていて、こういうこと考えてる、みたいな?

荒木 まず、流れを描く。自分がやることの。これ出て来て、これして、これで終わる、みたいな。流れ。絶対考えるようにしてるかも。

古賀 必ず踏んでる行程、とかある? 僕はそういうのがなくて、必ずこういう時間を作るようにしてる、とかなくて。

荒木 なんだろう。でも、描くのは絶対やるんだよね。字と絵を描く。

古賀 それをすると整理されるの?

荒木 整理されるかも、自分の中で。でも描くのはめっちゃ本番に近い時。最後の最後、もう前日か前々日ぐらい。ビジュアルをね、絵とかが好き。

古賀 本番前日になって俳優から絵描きになる。みたいな。

荒木 本番前になると、ずっとバナナたべる。小学校の時からずっと。

古賀 もはやジンクスみたいになってるよね。

荒木 そういうことじゃないのか。

古賀 そういうのも込みで、僕は、ない。あ、でもすごいマイナスのことを発言することは、なんかあるかも。心配性ってわけじゃないんだけど、なんか今日失敗しそうだな、とか、いう。割とそういうことを、人に聞こえる声とかで、いう。結構自覚してゆってる。単純な興味として、この人どういう反応示すかなっていうのがある。すごい嫌な顔されることもある。そういうのいうなよ、とか。今日は二落ちの日ですね、とかをゆったりする。基本的に信じてないから、わざとゆったりする。でどういう反応するかな、とか、すごい興味があるそういうの。


舞台を見ることについて。

古賀 あんまり舞台を見てたりとかして、人の感情とか、あんまり興味がないんですよ。僕はあんまり舞台とか本当は興味ないんじゃないかとずっと思ってて、システムとかギミックとかそういうのにしか興味がなくて。

荒木 俳優に興味がないの?

古賀 俳優の感情が、ぶわって溢れ出てる、最近ようやくそういうのもいいな、って思いはじめるようになったぐらいで、ほぼ、その空間演出というか、こういう台詞があるから、この台詞が生きてくるんだな、とかそういう仕掛け的なことにしか興味がなくて、もともと。みんなテレビとかも見るだろうし、漫画とかも読むし、映画も見るだろうし、その中のうち、にひとつ、媒体としての舞台が存在していて、ていうので、ときどきさ、いじきたない舞台があるわけじゃないですか。

荒木 なに、例えば。

古賀 例えば、笑って泣かせて最後満足させるっていう。いいのよ、きっとさ、有名なさ、俳優とかアイドルの人とか呼んだりとかさ、そのみんなが満足してみんなが笑顔になって帰れる公演みたいなのあっていいと思うんですよ、でもそれってちょっといじきたないと思ってて、それを求めてる人は、それは摂取しようとしてるからいいと思うんだけど、僕は摂取しようとしてないのよそれを。本当に泣ける部分とかは、自分の泣けるもので摂取するし、笑えるのは自分の笑えるので摂取するし、それを一度に、ミックスピザ、このピザ食べたいのに、ミックスピザ出された、みたいな感じで。でも、ミックスピザ好きな人もいるからな。

荒木 私、ミックスピザ好きだけどね。

古賀 でもさ、それに生クリームとか乗ってたらどう? 全部の、4色の別の味だったらいいか。幸福度高いのかな。でもやっぱり、ひとつのピースで、この味めっちゃ美味しいって思ったら、×4で、あと3つあったらもっといいのに、って思うけど、これしかないのかよ、って僕はそう思っちゃう。だから、そういう舞台とか見ると、こう、鉤括弧付きですよ、「いじきたねえ舞台」だなって思う。全部乗せ、みたいな。

荒木 全部乗せ舞台。ミックスピザ舞台は好ましくないと。

古賀 なにかに特化してたりとか、攻めてるっていい方は違うけど、攻めた演出とか、革新的なことやろうとしてたりとか、この人は今これに興味があるんだなとかはっきりとわかる舞台の方が、好感が持てる。人の感情とかは、普遍的なものじゃん。人が悲しむ要素ってのは、物を失くしたりとか、大切な人を失くしたりとか、ある程度ジャンルってのはさ、あるわけじゃない。でもそうじゃない時みたいなものを、見たい。この悲しみの引き出しあったんだ、っていう発見をしたいの。でも、普遍的なものってのは強いから。お歌でもさ、普遍的なメッセージが好まれるじゃない。大好きだよ。ありがとう。みたいな。いままでありがとう。私だけのベストフレンド。好きだよ。とかさ、そういうメッセージ性が強いものの方が好まれるじゃん大衆に。見やすいし、わかるじゃん。どこで笑ってどこで泣くってわかるじゃん。舞台見る時、なに見てますか?

荒木 なに見てるんだろ。この人なに考えてるんだろみたいなのは考えちゃうけどね。その役の中のその人じゃなく、その人自体。その人自体、やりたくなくてやってんのかな、とか。

古賀 やりたくないのかな、って、相当だろうけどね。

荒木 おもしろくない? やりたくないのにやってる人がいたら。

古賀 ひとりだけこのシーンちゃんとやってない、とか。めちゃくちゃおもしろいけどね。

荒木 なに見てるんだろうな。意外だ、みたいなのがあるとおもしろいと思っちゃう。意外、予想外。ちょっとわかんない。でも細かいところも見ちゃう。私のツボみたいなところがある。

古賀 なんかタイトルっぽくない、私のツボ。

荒木 私のキュンみたいなのがある。


今作への意気込み。

古賀 300メートル上空から、近藤千紘さんがジェットパックで降り立つところから開演する、っていうのが僕の希望。そうはじまるとは断言できない。でもそういうの見れたら、見てよかったってなる。4人芝居。芝居? 芝居ってなに? 4人舞台。

荒木 よくわかんない。

古賀 4人がいて、なにか、やるかもしれないし、やらないかもしれないし、いるかどうかすら定かではない。こんな公演誰が見に来るんだ。どうなんですか。今回なん回目ですか。

荒木 今回3回目。全然違いますよね、これまでと、タイトルが。

古賀 2回目の時(2018年5月『ラブ・ダイアローグ・ナウ』)、どう思った? 1回目(2018年2月『緑のカラー』)経て、2回目の稽古やってどう思った?

荒木 早い感じした。体感が、あ、終わった、って。メンバー違うからね、おもしろい。それぞれ新鮮だった。今回は、なんだろう。

古賀 なに、になる? この4人は。

荒木 レンジャーみたいな。ということは、ひとりひとりに特性があって、ひとつの目的に、こうキュッて力合わせるけど、時に喧嘩があったり、ね、でも最後は、

古賀 ドラマが生まれる。あれ? めちゃくちゃ大衆向けになりそう。

荒木 そうだね。

古賀 荒木さんはなにレンジャーですか。なに色ですか。

荒木 青。

古賀 僕は?

荒木 赤。

古賀 やった。

荒木 適当だわ。

古賀 近藤千紘さんは?

荒木 近藤千紘は、レインボー。

古賀 石倉くんのも訊こうと思ったけどいいや。レインボーいるならもういいだろ。そいつひとりに出動させれば。もういいよ、おつかれさまです。

荒木 今回の意気込み、ないんですか。

古賀 がんばります。レインボー聞けてよかった。



スペースノットブランク
舞台らしき舞台されど舞台
2018年9月6日(木) – 9月9日(日)
カフェムリウイ

舞台らしき舞台されど舞台|石倉来輝と近藤千紘・出演者たちの対談

編集:中澤陽

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