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舞台らしき舞台されど舞台|石倉来輝と近藤千紘・出演者たちの対談

スペースノットブランクの新作「舞台らしき舞台されど舞台」に出演する石倉来輝と近藤千紘による対談。これまで様々な舞台作品に出演してきた2人が考える舞台とは。



石倉来輝 いしくら・りき
1997年10月18日生まれ。俳優。〈ままごと〉所属。これまでに俳優として、SPAC(演出・古舘寛治、作・マキノノゾミ)「高き彼物」、パルテノン多摩×FUKAIPRODUCE羽衣「愛いっぱいの愛を」、チェルフィッチュ「三月の5日間」リクリエーション、芥正彦ノイズオペラ「カスパー」、ゆうめい「あか」などの作品に参加している。



近藤千紘 こんどう・ちひろ
1993年11月10日生まれ。ダンサー、俳優。これまでにダンサーとして、DANCE PJ REVO「ハゲワシと少女」「Orange Gravity」、Empty-Kubrick「正午の伝説」、akakilike「シスターコンプレックスシンドローム」などの作品に参加。俳優として、ルサンチカ「春のめざめ」「メザスヒカリノサキニアルモノ若しくはパラダイス」、新聞家「白む」、女の子には内緒「光を束ねる」、スペースノットブランク「ネイティブ」などの作品に参加している。


近藤 よろしくお願いします。

石倉 改めまして、石倉来輝です。

近藤 近藤千紘です。

舞台を作ることについて。

石倉 僕が最近興味があるのは、なにを、どんなことを目的にして、舞台が作られているかみたいなのは、気になるっていうか、あるんですよね。どんなこと考えてますか。

近藤 なんでこんな舞台やるか、とか。そういうの考えると、わかんない、ってなっちゃうから、逆に逃避してるのかな。そういうとこ考えずに、今自分にしっくりくるからやってる。一番しっくりくるものを、しっくりくるように作ってる感じ。参加させてもらうことに対しては、今までは、無理して頑張って、その時の稽古毎日毎日成長しなくちゃとか、なんか成果残さなきゃって、昔は思ってたけど、今はもう稽古場で作ってく中で、自分の中でしっくりくる。とか、無理してないな、ってところでのものを生み出す。みたいな感じになってきてる。

石倉 それはどうしてそうなったんですか。

近藤 東京に出て来て、最初の一年間って自分のこと知ってる人ってほとんどいなくて。私京都でずっとやってたし。でも、映像だけはネットで見れたりするから、その映像見て、オファーしてくれる人とかがいて、でも映像と実物って全然違うから、稽古場で私のこと実際に見た時に、なんか違うなって思いながら演出家もやってるのをすごい感じて。なんかその中でその演出家に合うように、どう擦り寄っていこうみたいなのを考える方がしんどくなるというか、私である意味ないな、って。もっと他にいい人いるしな、みたいなのを東京出て来て一年ですごい感じて、もう学生じゃないってこともあるけど。私にしかできないことっていうのもなんか、そういういい方をするわけじゃなくて、私ができることを並べていったら、私にしかできない。になるから、そういう感じに作るようになってきましたね。東京出て来てから、そういうことを考えるようになった。

石倉 なるほど。

近藤 色んな人の舞台に出演してるよね。

石倉 そんなにたくさんのところではないけど。

近藤 でも、外国行ってたじゃん結構。その中ではさ、見る人が違うから、変わる?作ってる人も。

石倉 そうですね、変わります。でも、あらかじめ変えるってことはない。皮膚で感じちゃうみたいな。そのやりとりの中で変わっていくってことはある。変わっていっちゃうみたいな。変わっていかざるを得ない、みたいなことはあるけど、あらかじめ作り変えるとか、その人たちのためになにかを変更するみたいなことはない。

近藤 外国行ったことなくて私。パスポートも持ってないから、外国ってことに対して偏見はすごい持ってる。知らないからこうだろみたいなの。25年間積み重なって、それで、色々外国いっぱい行ってる人とかって違う世界とか知ってるんじゃないかなって思っちゃうから、舞台とかも、外国だったら野次飛ぶんじゃない、みたいな偏見。

石倉 確かに、でも、僕も行く前は確かに偏見があって、でもやっぱり行って思ったことのひとつっていうか感じたことのひとつなんですけど、意外と外国も場所は場所で人は人なだけだって思っちゃって、なんかもう少し行く前は海外だぜ、みたいな。海外、絶対なんかもらえる。みたいな、俺は変われる、って思って行ったけど、意外とそうでもないっていうショックを受けたみたいなのがあって、別に、それは僕がどこまで行ってもツーリスト、ビジターって感じだったからかもしれないんですけど、なんか求めて行くと、別にそうでもないってことがわかったっていうか、変わらないことの方が大事かもと思ったのかもしれない。それが自分にとっての変化なのかもしれないですけど、あくまでも自分が訪れたみたいなのが、全部自分のものにしたいとかなるとよくわかんなくなっちゃうっていうか、体も壊すし、生活リズムが、みたいな。その土地で、自分でいる。みたいな。でもなんか全然違う土地に行けたから、自分を再獲得、みたいな感じはしますね。

近藤 私も行かなきゃ。

石倉 どこ行きたいですか。

近藤 行くとしたらね、スウェーデンとか行きたい。景色がブルーっぽそうなところ行きたい。ど偏見でしょ、外国に対して。

石倉 でもそんな感じですよ、いったら意外と、空気悪いな、みたいな。

近藤 今の方が楽しいのかもしれない。

石倉 世界が拡がるって結構大きなことじゃないっていうか、もはや拡がることが果たしていいことかもわからないぐらいに拡がった。

近藤 自分の行動範囲が拡がるってことなんだよね、身近になる。


舞台を見ることについて。

近藤 私、本当に久しぶりに自分で全然知らない舞台をひとつ、今日久しぶりに予約した。そんぐらい私、見に行かない人なんだよね。

石倉 どうしてですか?

近藤 2時間見るとかって、結構エネルギーがいることだから、おもしろくないことを見てしまった時の、すごい疲労感みたいなものを味わいたくないっていうのもあるんだけど、普通に生活してても結構おもしろいものに出会う機会は多いから。なんか、舞台だからおもしろい、とかは思ってなくて、舞台もおもしろいものはおもしろい。日常の生活も、同じ基準でおもしろい、だから。だったら、今は興味あることだけやって、ときどき舞台見るってなったら、見るっていうぐらい。

石倉 例えば、千紘さんの今選択してるおもしろいこと、舞台じゃないことってどういうことですか。

近藤 スーパーに行くことかな、新商品が出るのとか、それを見るのだけでも、お、新しい、とか。あの一瞬の、あ、みたいなものもめちゃめちゃ楽しいから。

石倉 僕もそう思うんですけど、そうありたいな、って思うんですよ。舞台とか演劇っていうレッテルで物事を判断するんじゃなくて、機能で判断したい。できるようになりたいなって。自分たちは、舞台を知ってるから、その機能を知ってて、日常にいると、おもしろいことってたくさんあるじゃないですか。でもそれは自分たちが舞台をやったことがある人だからなんじゃないかなっていうか、僕はそう思ってて。

近藤 舞台やってるんだから、新しい舞台芸術には、敏感になっとかないといけないんじゃない?みたいな、そういう考えもある?見なさすぎてもダメなんじゃない、みたいな。

石倉 それはあんまりわかんないですね。そうした方がいいような気がするけど、あんまりできないなあ、っていう感じ。

近藤 また舞台を作ることにも戻るけどさ、自分の中では新しいけど、他の人がもうやってるってこともあって、且つ私みたいに、たまにしか見ない人間はわかんないじゃない。今の流行りとか、今こういうものがもうすでに出てますよ、とか。そういう時に、そういうことが頻繁に起きてくると、あ、俳優としてもダンサーとしても撥ねられるんじゃないかなっていう恐怖があって、だから常に見なきゃいけないかなっていうモヤモヤはある。

石倉 でも疲れるんですよね。疲れますよ。

近藤 好きな団体、ある?

石倉 あんまり団体とかじゃなくて、見てよかったなって思う作品は、劇場から出るっていうことを考えてる作品が、最近は見てよかったなって思えますね。結構前は、舞台上がどれだけ筋が通ってるかっていうか、舞台上のクオリティみたいなのを求めてたけど、あんまり最近興味がなくて、どれだけ完成されたクオリティの舞台でも、劇場を出て、なににもならないものは、自分の生活にはもう必要ないというか、あんまりおもしろくないなって思いますね。

近藤 その時の記憶だけで残るよりかなにか入ってくるものの方がいいよね。

石倉 やるのと見るのやっぱ違うじゃないですか。

近藤 見るの好きな人、いるもんね。ありがたいけど、ありがたいなと思うけど、自分とは全然その人は違う感覚を持ってるんだろうな、とかって。同じ舞台で知り合ったけど、私は見るのはそんな得意じゃないから、見る人は、やるの得意じゃないから、みたいな。そう思ったら全然違うタイプの人間が、舞台のところで、出会えてるの、おもしろいな、と思いながら、ありがたいな。


今作への意気込み。

近藤 どうですか。

石倉 どうですか。あれですよね、2作目(2018年5月「ネイティブ」に続いて)。

近藤 そう2作目。でも、前の作品は結構踊った。体を動かした感じだったから、今回はどうなるかわからないけど。

石倉 場所もね、カフェだし。

近藤 多分同じ団体だけど、自ずと場所もやることも変わってくると思うから、自分で変化をつけなくても、前の作品とは違うものになるだろうと私は思ってるから、それこそ変な無理をして大人ぶるみたいなことはしないように、コツコツと、コツコツとやれたらいいなと、私にできることを。どうですか?なんだかんだ結局はじめてなんだよね?

石倉 はじめてなんですよ。だから、勝手がわからないからちょっとあれだけど。でもなんか、舞台じゃないところの話。舞台ではない世界の話を、つまり、ここから出るっていうことをしたい。ていうか、そのことを考える舞台作品にしたいなって思います。

近藤 いいね、ここから出る。



スペースノットブランク
舞台らしき舞台されど舞台
2018年9月6日(木)〜9月9日(日)
於 カフェムリウイ 屋上劇場

◉舞台らしき舞台されど舞台|荒木知佳と古賀友樹・出演者たちの対談

編集:中澤陽

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