言葉だけでは満ちたりぬ舞台|ステートメント
舞台を満たすものを考える。そこになにがあるのか、そこでなにをするのか。
舞台にあるいくつかの、いくつものファクターを通過して、舞台は形成されています。
そこになにがあれば舞台となり、そこでなにをすれば舞台となるのか、に、答えはないと仮定して、多様な選択を辿ること、逆説に怯えずあるとない、ないとあるを同時に行なうことが、言葉だけでは満ちたりないなにかを見つける手がかりになるのではないかと考えています。
人間対人間を前提として執り行なわれるパフォーマンスの時間。そこでは前提が見るものと見られるものに定義され続けます。「おもしろ味」というファクターを一方通行に舞台から観客席へ届ける環境は、舞台にとって、心地がよすぎるのではないかと疑っています。
「言葉だけでは満ちたりぬ舞台」は「コード・コード・コード」という「第29回下北沢演劇祭」にて行なわれる新しい企画のもとで制作される新作です。この企画は、一般の参加者たち、しかしプロかアマかは問わず、を集めてスペースノットブランクというアーティストと共に舞台を制作する。という企画です。アーティストも常に一般であり、一般も常にアーティストである可能性は十二分にあるのですが、この線引きが生みだす最たるものは「観客たちが舞台に表れてくる」という環境です。
その環境で作る「言葉だけでは満ちたりぬ舞台」とは、言葉だけでは満ちたりない、なら言葉のほかになにがあって、なにをすれば満ちたりるのか、際限のない多様によって舞台を満たすことはできるのか、舞台という環境に表れる会話と状態、そして表現を、新しくも身近な日常のドラマとして描き、観客たちと共有します。
スペースノットブランクに加えて、クリエーションメンバーとして、古賀友樹さん、近藤千紘さん、山下恵実さんの三人に協働いただきます。
出演者と、下北沢と、アーティストと、三つのコードが入り交ざり新しい舞台を作ります。
どんな舞台になるかは、まだわかりません。
出演者募集に応募いただき選考された出演者の皆様と共に舞台を作ります。
プロもアマも問いません。特別な技術や技能も必要ありません。舞台を作る意志だけで十分です。
一緒に舞台を作りましょう。
2018年10月24日(水)
小野彩加 中澤陽