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ラブ・ダイアローグ・ナウとネイティブを終えて。

ありがとうございました。

せんがわ劇場の方々が本当に親身に僕たちのやりたいことに向き合ってくださり、昨年のグランプリ受賞から、受賞公演最終日まで、たくさんの尽力をしてくださいました。舞台部の皆様も、嘱託員の皆様も、受付の皆様も、コーディネーターの末永明彦さんも、アドバイザーの徳永京子さんも、コンクールの際からお世話になったJAPLINの桒原秀一さんも(3人は制作の現場にまで足を運んでいただきました。)、そしてせんがわ劇場に携わっている芸術家の皆様も、ゲネプロを見に来ていただいたり、本番も見に来ていただいたり。ありがとうございました。そしてそういうすべてを含めてせんがわ劇場という場所に感謝したい気持ちです。

僕たちがコンクールで制作した「ラブ・ダイアローグ・ナウ」は、「出会いについて」の作品であり、「劇場」という場所が「出会いの場所」であることを描きたいと当初から考えていました。そのコンセプトをより練り込み、年代問わず、過去を振り返るのだけが「出会い」ではなく、未来へつながっていくのが「出会い」の価値であることを考えながら、劇場というその場所でどう表せるのか。たくさん考えて、出演者の4名も、はじめは戸惑うこともありましたが(膨大な台詞量を膨大な練習量によってカバーしてくれた4人には、敬意しかありません。)、劇場に入って、実際に観客と対話しはじめると、みるみる空間を拡げていってくれていました。初日から、味わい深く、最終日には100名近い観客に押されながら、押し返し、空間全体が美しく作品として成立していたように感じました。僕だけが、そう感じていたとしても構わないな。と思うくらいに、美しい空間だったと感じています。ありがとうございました。

新作の「ネイティブ」は、かなり最初の段階から、僕たちの表現の根幹をどう示せるかという心地で制作をはじめ、出演者も、かなり大きなばらつきをあえて出し、グランプリ受賞公演で、まあいわゆるカタい作品をやらなければいけないと思われるその場所で、初舞台制作参加の馬田佳織さんに出演いただく(馬田さんはとても真摯に作品と向き合ってくださり、初舞台かどうかが重要でなくなるほど尽力いただきました。)、など、常軌を逸したキャスティングをしたわけですが。それでも、技術と、想像と、怒りは、すべての人にあらかじめ備わっているものとして、この作品は、これから生み出すのではなく、はじめから生み出されていたものだ、と。できることをやるだけで、それが表現に成り得るのだ、と、示すことは、できたと思います。

課題はたくさん残ります。これは観客の目に見えない部分の話の方が多いかもしれません。

作品は、観客の皆様の見ていただく状態が整えば成立しますが、準備段階や、運営、そのほか諸々には、たくさんの課題を見出すことができました。それだけで、僕たち団体としても、非常に大きな収穫だったと思います。これは、2月に参加させていただいた下北ウェーブ2018から引き続いてのことでもあります。

ただ、それでも予想をほぼ倍近く上回る観客の皆様にご来場いただいたこと、非常に嬉しく思っています。

今回の受賞公演が、何を以って成功といえるのかはわかりませんが、新作が常に最高傑作であるからには、次の段階へと、作品も、団体も、僕たち個人個人も、新しい段階へ足を踏み出す心構えをすることができる公演となりました。

ご来場いただいた、すべての誰かにとって、僕たちの作品が、今、の自分と、今まで、の自分と、今から、の自分を受け容れ、表現は僕たちだけが行なっている、ものではなく、すべての誰かが、表現を行なっている、ということを考えるきっかけになれたら、嬉しいです。

ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。

また会いましょう。

中澤陽

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