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古賀友樹|緑のカラー・出演者インタビュー

2012年「パラード」より小野彩加、中澤陽と制作を共にして来た古賀友樹。昨年7月に行われた第8回せんがわ劇場演劇コンクール・グランプリ受賞作品「ラブ・ダイアローグ・ナウ」にも出演するなど、これまで最多の出演回数を誇る。そんな彼に、2月に上演される新作「緑のカラー」に向けて、これまでのことと、これからのことを聞いた。インタビューは、俳優の石倉来輝との対話形式により、2017年の暮れ、クリスマスイルミネーションの彩る中で行われた。


「緑のカラー」稽古後、クリスマスイルミネーション彩る成城コルティにて。 撮影:石倉来輝

古賀友樹 こが・ゆうき
1993年9月30日生まれ。俳優。〈プリッシマ〉所属。多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科卒業。俳優として、ゆうめい「みんな」「弟兄」、劇団献身「最悪な大人」「幕張の憶測」、スペースノットブランク「悪魔の国」「ラブ・ダイアローグ・ナウ」などの作品に参加している。

毎回やることが違うから、全然違うから、慣れない。

___石倉:これまで作品に参加した回数はどのくらいですか?

古賀:この前数えたんですけど、付き合いとしてはもう7年目とかで、作品数は10近い、10近くは出ています。

___石倉:長いですね。

古賀:僕が大学に入学して、1ヶ月しか経ってない時に、もう1発目。それが「パラード」っていう作品で、それは僕と中澤陽と小野彩加の3人で、映像が投影されている中で踊るっていうやつで、それが1本目。高校3年生の頃から交流はあって、なんだかんだ大学に入ったのも中澤陽がいたから。

___石倉:出身はどちらですか?

古賀:福岡です。割と都会の、福岡市に住んでました。高校で演劇を始めて、もっと演劇を続けたいなあということで、東京の多摩美術大学というところへ。実は中澤陽が入ってて、でも1年で辞めちゃうんですけど、中澤陽は。でもそっからも作品は作ってたから、いつの間に辞めたんですか、みたいな感じ。上京したら作品作ろうという約束交わしていて、もし大学落ちても出演する。という約束交わして、なんとか受かって。当時から彼の性格はまるっきり変わってないと思います。小野彩加も当時から変わらず。2人とも変わんない。当時から。

___石倉:その頃の古賀さんにとっての演劇とは?

古賀:僕はもともとお笑いが好きで、喜劇とか、松尾スズキさんとか、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんとか。野田秀樹さんももともと好きで、多摩美入ってからはより見るようになったし、でもはっきりいってコンテンポラリーダンスとか、いわゆるダンスとかは一切やったことがなくて、で初めてその1本目の作品に出るってなって、たぶんあれは形態としてはダンス。と映像が絡み合ってる感じだから、だから初ダンスがそれで。

___石倉:演劇という感じではなかったんですか?

古賀:むしろダンスをやってるっていう感覚もなかった。作り方が特殊だからなのかもしれないけど、なんか僕にはそれが合ってたというか、特にカウントもないし。ここでこう動いてみてとか、この腕に登れるかとか、懸垂みたいのやってみて、みたいなのをひたすらやってたから、すごくダンス、ともならなくて。で演劇やりたいのに!ともならないし。スッと入っていった感じがあったかな。だからなんか自分で、俺がダンスかあ、と思うこともなく、あ、こういう感じでやんのか、みたいな。小野さんはバリバリ踊れるから、これは難しいなって感じたこともあるけど、でも出会ってから演劇観が変わったとかも特にないし、ダンス観とか、アート見る感覚が変わったとかも特になくて、でもこういう作り方があるのか、とは思いました。でも毎回やることが違うから、全然違うから、慣れない。ずっと出てるからとか、10回出てるからとか関係なく、慣れないですね。作り方は当時から変わんないけど、浮いてみてとか、本気で殺してよとかも。

___石倉:今回の新作「緑のカラー」はどんな感触ですか。

古賀:どんな感触。思うことは毎作品一緒で、作品の全景が見える時ってあるじゃないですか。完成形こうなるなあとか、お客さんに見せたらこうなるなあとか、がいままでほとんどなくて。完成形が見えないままやるっていう。初日を迎えて、やっとこういう形かみたいな感じだから、だからどういう感触っていうのは、毎回わかんないし、答えづらいところもあるんだけど、でも初めてワークショップオーディションやって、いろんな人たちが集まって大きくガラッと変わったから、スペースノットブランクが知らない人たち、ミーツ、この素敵な俳優さんたちのセッションみたいな感じになるんじゃないかなあ。見た感じ。どうなるんでしょう。自分自身楽しみな部分は多いんですけど。

___石倉:古賀さんの故郷、福岡県に関することをちょっと聞いてみたいと思ったんですけど。

古賀:僕はどちらかというと、中学から親に頼んで塾に通わせてもらって、高校は進学校に通って、勉強ができる子みたいな感じだったんですよね。高校に入ってから演劇部に入って初めて演劇に携わって、でもともとお笑いが好きで、そういう人いっぱいいると思うけど、おもしろいことしたいけど目立ちたくないみたいな。でも目立ちたい。演劇部入りましたけど、何するわけじゃないですよみたいな。ただ、部員は先輩が1人しかいなくて。で僕と同期で入ったのは5人、のち1人は辞め、僕以外全員女子。で僕が部長になり、脚本も演出もプランも全部決めて、みたいな感じになっていって、作劇とかをやるようになりました。

___石倉:その頃から劇を作るみたいなことはやっていたんですか?

古賀:ベタに平田オリザさんの本読んで、セミパブリックとは何か、お葬式というのは、知らない人を持ってくると説明ができる。とかを学んで、なるほどね、みたいな。結局大学に入ってからは作劇はあんまりやらなくなっちゃったんだけど。


「緑のカラー」稽古場にて。 撮影:石倉来輝

小さなところから大きいところに、大きなところから小さいところに着地するっていうのが好きで、極力与えられたものと違うものをまず考える。

___石倉:稽古を見ていて、すごい魅力的だなと思ったのが、なんで古賀さんはこんなに高圧的なんだろうって、すごい客観的ないい方ですけど、それは古賀さんに内在するものなんですか?

古賀:ショックだなあ。

___石倉:いいなあと思って。稽古で作品を作るにあたって、古賀さんにとって何が自分の材料になっているんですか?

古賀:単純に、この人がこういう台詞をいったらおもしろいんじゃないかなあっていうのもあるし、なんか自分が天邪鬼だから、人と同じことをやりたくないから、小さなところから大きいところに、大きなところから小さいところに着地するっていうのが好きで、極力与えられたものと違うものをまず考える。謎かけみたいな感じ、遠いものを同じところで落とすっていう技術だけど、なんかそういう感じで、別のところから持ってきて、で引っかかったらそれで作っちゃうみたいな。

___石倉:それは演劇部の頃からの経験とかが作用したりしているんですか?

古賀:いや、性格かな。でも人と同じものは嫌だっていうのはずっとあって、流行りの曲とかも一切聴かないし、モーニング娘。、AKB48とかも全然知らないというか見ないようにしてて、Perfumeは本流じゃねえだろって思って好きになって、だから、常に横道を走ってきたらここに辿り着いた、みたいな。あと、僕、末っ子なんです。すごく歳が離れた兄弟が3人いて、だから可愛がられて育ってきた、どちらかというと。で年上の人たちとかずっと一緒にいて、だからそういうところも関係してるのかなとは思う。人の懐に入るの上手いとか。あと幼い頃からゲームが常に近くにあった。スーパーファミコンから触って、小学校低学年は、バイオハザード。教育にはよくないと思うんだよ。おじいちゃんとかがお家にいて、見てくれてたのね。で僕が横でハンドガンをゾンビにぶっ放してるのを見て、おじいちゃんどう思ってたんだろうみたいな。なんもいわなかったけど。でも大好きでやってて、高学年になったら友達と対戦したいっていう風になって、人の家ではスマブラとかもやるし、ロックマンのゲームとか流行ってたから。

___石倉:割と戦うゲームをするんですね?

古賀:人を負かすのが好きで、僕が勝つのが好き。でどう勝つのが好きかっていうと、人気がなくてこいつは弱いっていわれているキャラクターで勝つと、よりアドレナリンが出るっていうか。

___石倉:下克上みたいな。

古賀:そうそう。だから人気があるキャラとかはあんまり好きにならない。だからウソップとか好きだし、あと人間なのにここまで強いみたいなキャラクター、クリリンとかも好きだし。

___石倉:ちょっと日陰にいるキャラクター。

古賀:どちらかというとそうかもしんない。そういキャラクターとか映画で見ると、すごく惹かれる。なんかオタクなんだけど強いよ、みたいな。でまあストファイもずっとやってたし、お兄ちゃんがちょうど世代ですから、ストツーからずっとやってます。

___石倉:ストツーでは何のキャラを使うんですか。

古賀:ストツーではね、結果ガイル。ゲームは色々触ってたし、割とそういう面では裕福な感じで育ったのかも。末っ子だから。塾にも通わせてもらったし、よっぽど不自由とかはなかったかな。で、お笑いもすごく好きだった。


「ストリートファイターII」に登場するガイル。 引用:Playstation.Blog

___石倉:その当時でいうとどういったお笑いを見ていたんですか。

古賀:当時は、オンエアバトルをずっと見ていて、深夜に差し掛かる時間帯のオンエアバトル。内村プロデュースとかが全盛期というか、本当におもしろい時期で、そればっか見てた。だから、学校へ行こう!とかは、こんなんで笑わないですけど、みたいな。

___石倉:すごいひねくれてますね。

古賀:別にどっかでひねくれたわけじゃないけど、きっとどっかでそういう切り替わるのはあったんだと思う。だからそういうのが、高圧的な部分にっていう風に結びつくんじゃないかなって思ってちょっとやだ。これはもう趣向だから。趣向が芝居に出るってやばい人じゃん。

___石倉:でも滲み出ちゃうその人の味みたいものでもあるかもしれないですけどね。

古賀:よくなんか話し合いとか議論になると高圧的になるっていわれるけど、初めていわれて、なんかわかる部分があってやだ。意外、ってなんない。なるほどな、ってなっちゃった。

___石倉:でもそれ、俳優としてそうありたいですよね、どうですか?

古賀:そうじゃない時は大変だろうけど、そうじゃない時もあるか。そういう役ばっかやってるわけじゃないし。逆にない、上からやる役って。ほぼ虐げられる側。過去に出演した劇団献身やゆうめいでもやられる側だし。やられる側だったから、なんだろう。逆にやだ。

___石倉:どっちがお芝居していて楽しいですか。やる側と、やられる側。

古賀:やりたいのは、やる側だよ。虐げたい。僕は100%虐げたい。けど、やりがいがあるのは虐げられる側だよね。だって芝居は嘘じゃん。虐げられてないじゃん。稽古場でも楽屋でも虐められてたらやばいけど、そうじゃないのに、そういう状況に追い込むっていうのは、すごくスリルがあると思う。でもなんでもかんでもゲーム的に結びつけちゃうっていう癖はあると思う。

___石倉:それはゲームみたいに演劇のことを考えたりするってことですか?

古賀:というか、自分でクリエイションとかする時に、例えば前提条件を提示しないとこのワード使えないとか、そういうのはゲームで培ってるんじゃないかなって思う。


「緑のカラー」稽古後、クリスマスイルミネーション彩る成城コルティにて。 撮影:石倉来輝

主観性と客観性のどっちかに偏ってもあんまよくないなあって思う。けど、たまには主観だけになりたい時もある。

___石倉:古賀さんは高校で演劇を始めて、大学で上京してきたわけじゃないですか。上京してからはどうですか。

古賀:上京してからは、とても気が楽だった。もちろん有名になってちやほやされたい。みんなより演劇がうまくなりたい。みたいなのは色々あるけど。悔しいけどね、なんか同世代のあいつが、この舞台に出てやがる。と思うと悔しいけど、でもなんか周りの人、同級生とかと比べると、そこまで欲っていうのがない気がする。自分は自分の仕事をやろう。とか、変な感じだけど。すごい落ち込む役者さんているじゃん。本番でうまくできなかった、悔しい。みたいな。でも、そういう時もあるよ。って、役者がいっちゃいけないんだけど。でも波って絶対あるから、それを制御できない時だってあるし、だから、うまくまとまらないけど、生きてるからそりゃあるよ、っていう。きっと嫉妬とかちっちゃいことじゃないですか、大きいものと比べると。いや、でも欲はあるよ、でもどっちも持ってる人の方がいいと思うんだよね。なんか僕自身、親が強盗にあったりとかして、怪我しちゃったりして、鞄奪われて、悲しいって思うと同時に、なんだこれって思ったりもして。なんか、主観性と客観性のどっちかに偏ってもあんまよくないなあって思う。けど、たまには主観だけになりたい時もある。僕自身あんまり映画とか演劇とかで最近泣かない。可哀想、ってなれない。それよりなんでこの役者さんは、ここでこの声のチョイスをしたんだろう。演出かなあ、脚本?え?え?みたいな。

___石倉:上京して初めて舞台芸術、スペースノットブランクの作品に関わってどうでしたか。

古賀:中澤さんの印象は、怒らない。怒らないっていうか個人をすごく尊重してくれる人かな。個人を尊重してくれるし、あんまり説明しない。演劇作品をやったこともあるけど、その時も、このキャラクターはこうだから、みたいな演出はしない感じで、すごい余白を持たせる感じ。余白っていうとすごい良いいい方。僕は常にスペースノットブランクの作品しか出てないわけではないから、だからすごい良い刺激になるんだよね。定期的に、共通言語がない人と話す時間が来たぞ、っていうのがすごく脳トレになる。


2013年「ファットボマー」 撮影:中村祐太郎

___石倉:それは、今も共通言語がないって思いながらやっていますか?

古賀:共通言語はない、って思う。でもやりたいことはこういうことなのかなって思うのはいっぱいわかる。

___石倉:別の団体の作品とかだと、全然違うじゃないですか。どういうスタンスでやるんですか、スペースノットブランクの時は。

古賀:まず稽古場の雰囲気が違う。でもどの団体の人たちもおもしろいもの作ってお客さんに楽しんでもらおうみたいなのは共通はしてるけど。例をあげるとしたら、僕は待ってあげられるけど、時は待ってくれないよ、とか。今日その制限時間があって、その時間が来ましたってなって、待ってってゆっても、待たない。っていうところが、人を人だと思ってないのかなあ、良い意味で。だから物も、同等の価値があるっていう。物も役者やし、人も役者やし、お客さんも役者やっていう。役者だらけじゃねえかっていう。そこまではいわないけど、僕はそういう風に捉えた。だから、物を人と同じ価値まで引き上げてるのか、人を物同然と思ってるのか、それのどっちかかなあ。

___石倉:それはわからない。

古賀:それは、わからない。


「緑のカラー」稽古後、成城コルティ駐輪場にて。 撮影:石倉来輝

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第28回下北沢演劇祭参加作品
下北ウェーブ2018選出
緑のカラー
2018年2月8日(木)〜2月11日(日)
於 小劇場楽園

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出演者インタビュー掲載中
佐々木美奈
鈴木望生
黒木龍世
石田ミヲ
荒木知佳

インタビュー:石倉来輝
編集:中澤陽

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